『犬神家の一族』4K修復版がすごい…若々しい石坂浩二や坂口良子の魅力を再発見!

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『犬神家の一族』4K修復版がすごい…若々しい石坂浩二や坂口良子の魅力を再発見!

『犬神家の一族』(76)というタイトルを聞けば、きっと多くの人が大野雄二作曲の印象的な音楽「愛のバラード」と、湖から飛び出した2本の脚のインパクトある光景を思い起こすのではないだろうか。1970年代から1980年代にかけて日本映画界に旋風を巻き起こした「角川映画」の記念すべき第1作として製作された市川崑監督の代表作は、紛れもない傑作ミステリーであり、公開年の日本映画屈指のヒット作でもあり、そしてそれらを超越した国民的映画とも呼べるかもしれない。

「角川映画祭」は11月19日(金)より全国順次開催!
「角川映画祭」は11月19日(金)より全国順次開催![c]KADOKAWA

そんな「角川映画」の45周年を記念し、11月19日(金)からテアトル新宿、EJアニメシアター新宿、ところざわサクラタウンにて「角川映画祭」が開催される。そのラインナップは実写・アニメあわせて31本。なかでも目玉作品となるのは、本映画祭で世界初披露を迎える『犬神家の一族』4Kデジタル修復版だ。

「角川映画」の記念すべき第1作として製作された『犬神家の一族』
「角川映画」の記念すべき第1作として製作された『犬神家の一族』[c]KADOKAWA

一足先にその完成版を拝見した筆者は、試写室でその臨場感にただただ打ちのめされた。今年夏の「大魔神三部作」など、これまでも4K修復が施された作品は観てきているが、それらはいずれも制作当時の映画技術と現代の修復技術のすごさをスクリーン越しで感じるような、どこか客観的な映画体験であった。しかし今回は、劇場ごと45年前にタイムリープしたような錯覚に陥る。那須市の景色と犬神家の邸宅などスクリーンに映るすべてのものが、テクニカルに蘇ったものではなく、まるで新作であるかのように映しだされていくのだ。これはまさに、現時点における4K修復の決定版ではないだろうか。


【写真を見る】45年前の公開当時にタイムリープ!4K修復で『犬神家の一族』はどう変わったのか?(旧HDマスター版)
【写真を見る】45年前の公開当時にタイムリープ!4K修復で『犬神家の一族』はどう変わったのか?(旧HDマスター版)[c]KADOKAWA

そもそも4K修復とは、35ミリのオリジナルネガフィルムを物理的に修復した後、4Kスキャニングでデジタル化し、傷やゴミ、画面のムラなどを取り除いた上で当時を知るスタッフ監修のもとグレーディング(色味調整)作業を施していくというプロセスである。とりわけこの『犬神家の一族』という作品は、初公開時のプリントからVHSやDVDに至るまで様々なトーンが存在し、ひいては画郭もまちまち(今回の4K修復版は東宝ワイドの1.1.5画面になっている)な奇特な作品だ。

色彩鮮やか、隅々のディテールまで復活!4K修復の決定版と言える圧倒的な仕上がりに(4K修復版)
色彩鮮やか、隅々のディテールまで復活!4K修復の決定版と言える圧倒的な仕上がりに(4K修復版)[c]KADOKAWA

本作を鑑賞したことがあるという人でも、いつ/どこで/どのように観たかがひとつ違うだけで、同じものを観ていない可能性がある。それだけに、はたしてどれが正解なのか判然としないものであるわけだが、今回の4K修復ではこれまでの方針通り、初号試写の状態をひとつの正解として定めたという。令和の時代の最新バージョンの『犬神家』にして、ようやく原点に立ち返った、新たな“正解”が生みだされたということになるだろう。

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