GENERATIONSをデビューから撮り続ける久保茂昭監督の到達点、リスペクトするSABU監督との対談で明かしたメンバーの“素顔”と“新たな一面”
作詞家、小竹正人の詞の世界観を映像化するCINEMA FIGHTERS project第4弾『昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-』が、11月26日(金)よりスクリーンに登場する。今回はリリックから生まれた6つの短編に、GENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーが全員参加。SABU、新城毅彦、山下敦弘、森義隆、真利子哲也、久保茂昭というそうそうたるメンバーが監督を務め、映画と音楽の力を一つに融合させた。
そこでMOVIE WALKER PRESSでは、佐野玲於主演の『BLUE BIRD』を手掛けたSABU監督と、小森隼主演の『水のない海』の久保監督にインタビューを敢行。久保監督がSABU監督に寄せるリスペクトや、GENERATIONS from EXILE TRIBEメンバーの佐野玲於と小森隼が役者として見せた魅力などについてたっぷりと語り合ってもらった。
「ショートフィルムがとても好きなんです」(SABU)
――「CINEMA FIGHTERS project」第4弾に参加することになりました。オファーの感想からお聞かせください。
SABU「僕はショートフィルムがとても好きで。ショートショート フィルムフェスティバルにも初期から参加させていただき、海外の作品もたくさん観てきました。ショートフィルムは短い時間のなかに起承転結があって、限られた時間のなかでおもしろいものを作るやりがいもあります。また、歌詞からインスピレーションを得て映画を作るという『CINEMA FIGHTERS project』はオリジナルを作るのとはまた違ったおもしろさがあると思い、ぜひやってみたいと思いました」
久保茂昭(以下、久保)「僕は以前からミュージックビデオを作らせていただいて、小竹さんとも何度もお会いしています。正直『なんでいままで声がかからなかったんだろう』と嫉妬する気持ちもあって(笑)。でもいざお話をいただいたら、『こんなにそうそうたる監督たちと並ぶの!?』と戸惑いもありました。とはいえとても光栄なお話で、ショートフィルムの経験もありませんでしたが、参加させていただけて本当にうれしいです」
――久保監督は、SABU監督に憧れていたというお話を聞きました。
久保「そうなんです。当時まだ僕は学生でしたが、SABU監督の『弾丸ランナー』を渋谷の映画館に観に行って衝撃を受けました。『ワールド・アパートメント・ホラー』など役者さんとしてのSABU監督もとても好きで、『役者さんが撮る映画って、どういうものなんだろう』と興味本位で観に行ってみたら度肝を抜かれまして。今回の企画にSABU監督が参加されていると聞いて、もしそこに一緒に名前を並べられたらどんなにうれしいことだろうと思っていました。SABU監督の作品には“全速力で走る”イメージがありますが、僕も『HiGH&LOW』シリーズを撮る時には“走る”をかなり意識しています。走り続けることで出てくる役者のエネルギー、アドレナリンみたいなものをぜひ捉えたいと思っています」
SABU「ありがとうございます。走るシーンはどうしても撮りたくなるんですが、緊張感もあるので。カメラが回り始めたら燃えてくるものがあるんですが、毎回緊張するシーンでもあります。きちんとした準備をしないと大怪我につながることもありますので、もう走るシーンをやりたくないなぁと思う時もあります(苦笑)。でもやっぱりそのギリギリの瞬間から生まれてくるものが、とても好きなんです」
「小竹さんの歌詞は、痛みを一緒に共有してくれるような世界観を持っている」(久保)
――SABU監督は今回、KAZUKIさん(DOBERMAN INFINITY)の「あおいとり」からインスパイアされた『BLUE BIRD』を手掛けられました。
SABU「やはり『あおいとり』ということで、幸せを探して冒険をするチルチルとミチルを描く童話を思いだしました。映画では登場人物となる兄弟自体、髪を染めて青くなってしまっています(笑)。歌詞から直感で受け取ったものを作品にしようと思い、『ある兄弟が幸せを探しているけれど、実はそれは身近にあった』というストーリーになりました。キャッチーなつかみがほしいなと思って、兄弟はパンクファッションに身を包んでいます。とにかくこの作品は観る人に楽しんでもらいたいという一心で臨みましたが、僕自身、コロナ禍になって当たり前だと思っていた幸せの大切さを実感することが多くて。僕の長男はベルリンに留学をしているんですが、家族が揃うと本当に平和を感じます。ずっと日本にいてくれと思ったりしますね」
――久保監督はiScreamの「愛だけは…」からインスパイアされ、『水のない海』を完成させました。
久保「最初は20分ワンカットで“走ること”をテーマにした映画で勝負しようと思っていました。たくさんの人たちのなかを疾走するといった内容だったんですが、コロナ禍とあってエキストラさんを集められない状況になってしまって…。そこからシナリオを書き直し、主演の(小森)隼とも話し合いながら物語を作っていきました。『愛だけは…』は“都会の乾いた海で溺れている”といったせつない歌詞でしたので、隼のイメージとは真逆の性格の主人公を描きたいなと。隼には元気なイメージがあると思うのですが、僕は彼が落ち込んでいる場面を目にすることもあります。昔からの仲である僕と隼が一緒にやるからこそ見えてくる、隼の人間らしさのようなものを映しだしたいと思っていました」
――久保監督はミュージックビデオも数々手掛けていらっしゃいますが、小竹さんの歌詞の魅力をどのように感じていますか?
久保「僕自身、本作の主人公のようにうじうじとしたところのある人間で、いつも小竹さんの歌詞に助けられながら生きてきたようなところがあって。小竹さんの書く歌詞には、心の奥底に触れてくるような魅力があります。痛いところにそっと触れて、それを一緒に共有してくれるような世界観を感じています」