『ハリー・ポッター』のキーパーソン、シリウス・ブラックの人間味あふれる魅力を振り返る
J・K・ローリング原作の世界的ベストセラーファンタジー小説を映画化した「ハリー・ポッター」シリーズ。シリーズ第5弾『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(07)では、復活した闇の帝王、ヴォルデモートとの戦いに備えて、大人たちが“不死鳥の騎士団”を再結成したのを知り、ハリーも学友たちと作った秘密の軍団=ダンブルドア軍団を率いることに。そんな本作でハリーの心の支えになっているのが、彼の父ジェームズの親友で名付け親でもあるシリウス・ブラック。本稿ではシリーズ屈指の人気を誇るシリウスについて、映画版をベースにその出自や劇中での活躍、演じたゲイリー・オールドマンの功績についても振り返っていきたい。
※本記事は、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。
無実の罪で12年も投獄されていたシリウス・ブラック
シリウスがシリーズに登場したのは第3作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)から。ヴォルデモートの配下としてハリーの両親の死に関与し、友人のピーター・ペティグリューと12人のマグルを殺害した罪で魔法界の牢獄、アズカバンに投獄されるが、12年後に脱獄。実はシリウスは無実であり、真犯人は殺されたはずのペティグリューだった。真相を知ったハリーたちは、ロン・ウィーズリーのペットのネズミ、スキャバーズに化けていたペティグリューを一時は捕らえることに成功するが、同行していた人狼のリーマス・ルーピン先生がオオカミの姿に変身し、その騒動のなかで逃走を許してしまう。
かくして、ハリーやアルバス・ダンブルドア校長といった一部の魔法使いを除き、世間的には凶悪犯のままのシリウス。各地を転々としながらの逃亡生活を送るなかで、ハリーの良き相談相手となり、ふくろう便や煙突飛行ネットワークで連絡を取り合う仲となる。第4作『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)でも、三大魔法学校対抗試合の選手に選ばれたハリーに対し、アドバイスや警告を送っている。
ハリーを支えながらも、亡き親友の面影を重ねていた
『~不死鳥の騎士団』では、再結成された不死鳥の騎士団のために、ロンドンのグリモールド・プレイス12番地にある実家を隠れ家として提供。ハリーと再会した時には、固い抱擁も交わしている。一方で、指名手配中で自由に行動できないことにストレスを感じていたり、ハリーに亡き親友の面影を重ね、彼を危険に誘い込もうとしていると、ロンの母モリーらに苦言を呈される場面も。新学期が始まり、ハリーがホグワーツへ発つ際には、ハリーの両親が写った騎士団の創設メンバーの集合写真をプレゼントしている。
ホグワーツでの5年目を迎えたハリーは、ヴォルデモートの復活を信じない魔法省のネガティブキャンペーンや、省から派遣された闇の魔術に対する防衛術の新任教授、ドローレス・アンブリッジによる体罰や妨害、ヴォルデモートとの精神的な共鳴といった様々な困難に見舞われることに。そして、ヴォルデモートの策略でシリウスが拷問を受けている幻覚を見せられたハリーは、仲間と共に魔法省の神秘部に潜入するが、そこで待ち受けていた死喰い人たちの襲撃を受けてしまう。
間一髪のところで、シリウスら騎士団のメンバーが到着し、死喰い人を次々と撃退。しかし、シリウスはいとこのベラトリックス・レストレンジの呪文を受け、死のアーチに倒れ込み、そのまま死体も残さずに消滅してしまう。その後、ヴォルデモートの復活を認めた魔法省は、シリウスが無実であることも公表し、すべての容疑が取り下げられることに。グリモールド・プレイス12番地の屋敷をはじめ、ブラック家の遺産はハリーが相続することとなった。