ビデオガール、スナックのママ、影を抱える大学院生…フォトジェニックな魅力を放つ女優、西野七瀬
新境地となる役柄に挑戦!『孤狼の血 LEVEL2』(21)、「言霊荘」
今年8月に公開された白石和彌監督作『孤狼の血 LEVEL2』で、西野はこれまでのイメージにない新たな役柄に挑戦している。本作は作家、柚月裕子の「孤狼の血」シリーズ3部作を原作に、映画オリジナルストーリーで展開していく暴力と狂気に彩られたバイオレンスドラマ。松坂桃李が広島の裏社会を治めるマル暴刑事の日岡、鈴木亮平が圧倒的な“悪”である上林組組長の上林に扮し、彼女は日岡が通う「スタンド 華」のママである近藤真緒を演じた。映画公式サイトでは「オファーをいただいた時はなにかの間違いなんじゃないかと、とてもびっくりしました」とコメントしていたが、日岡の策略により上林組にスパイとして潜入することになった弟の“チンタ”こと幸太(村上虹郎)を心配する姉役を熱演。髪をブリーチして呉弁、喫煙、ビンタと様々な“初めて”に果敢に挑み、その姉弟愛あふれる柔らかな佇まいを白石監督も絶賛していた。
また新境地という点では、“底辺ViewTuber”という、ある意味彼女とは真逆の女性、歌川言葉を演じたドラマ「言霊荘」にも注目したい。「発した言葉が現実になる」という不思議なアパートを舞台に、恐怖に苛まれる女性たちの姿を描く新感覚ホラーである本作。西野演じる歌川は、言葉の力を信じ、人々の幸せを願う天真爛漫な天然女子。決して派手な見た目ではないが、人目に映る仕事だけにきちんと行き届いたファッションがかわいらしい。そんな底抜けに明るいイマドキ女子な歌川が、アパートの怪奇に飲み込まれた際に見せる演技ぶりは狂気的。ゾッとさせられてしまうほどの豹変ぶりを見せつけた。
白衣姿が可憐でかわいい…『一度死んでみた』(20)、「アンサング・シンデレラ」
『一度死んでみた』の社長に塩対応をする製薬会社の社員という役どころも新鮮だった。広瀬すずが父親嫌いのデスメタル女子の七瀬、その父親の野畑計を堤真一、父親が社長を務める野畑製薬の存在感の薄い社員を吉沢亮が扮するドタバタコメディ。総出演時間としては短いが、社長に忖度しない物言いをする姿は印象的で、西野は予想外のコメディエンヌぶりを見せつけている。また、前髪を七三にきっちり分けた、いかにも“リケジョ”な雰囲気も、ほかにはあまりないビジュアルだったと言えるだろう。
同じく白衣姿であった2020年放送のドラマ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」も記憶に新しい。西野演じる相原くるみは、主人公の葵みどり(石原さとみ)と同じ萬津総合病院薬剤部に勤務する新人薬剤師。序盤では、薬剤師という職に対しやや後ろ向きでドライな印象を感じさせた相原。しかし、葵をはじめとした周囲の人々の働きぶりを見て徐々に変化していくという、等身大な若者を演じて見せた。『一度死んでみた』とは打って変わって、ヘアスタイルが毎話変わるなど、見た目にはこだわりアリな相原。“相原くるみ”としての公式インスタグラムも立ち上がるなど、ビジュアル面でも非常におもしろみのある役柄となった。