「デートに誘えないところがそっくり」木村昴が吹替版を演じた『イン・ザ・ハイツ』、主人公に感じたシンパシー
「僕もウスナビも、人のためなら頑張れる性格です」
トニー賞で作品賞と楽曲賞を含む4部門を受賞した傑作ミュージカルを映画化した『イン・ザ・ハイツ』。全米では公開から3日間で、興行収入1150万ドル越えの大ヒットを記録した。日本での公開時には字幕版のみの上映だったが、デジタル配信、Blu-ray・DVDでは吹替版を初収録。(デジタル配信中、Blu-ray・DVD共に発売中)。主人公のウスナビの吹き替えを担当した木村昴は「舞台を観劇したこともあったので映画化の時点で楽しみだったんですけど、まさか自分が吹き替えをやらせてもらえるなんて、すごくうれしかったですね」と喜びを語った。
木村は本作を「舞台のよさを残しつつ、さらに映画だからこその演出をプラスで楽しめる。ミュージカル映画の最高峰だと思います」と絶賛。初めて観た時は「ついにこんな映画が誕生したか!」と、衝撃を受けたという。「ひとくくりにしたらいけないと思うんですけど、いわゆるミュージカル映画って元々ミュージカルとしてすばらしいものを、映画にするわけじゃないですか。舞台で演じられるように作られているから、舞台だからこそ力を発揮する物語や演出がふんだんに詰め込まれてるんですよね。それを映画化するとなると、言い方が変かもしれないけれど、損なわれる部分もあると思うんです。でも、映画『イン・ザ・ハイツ』では舞台じゃ絶対にできない演出がたくさんある。例えばプールのシーンは、舞台でもありますけど、映画ならではの演出になってるんです。ほかにもウスナビのお店のリアリティだったり、映画だからこそ色濃く描かれているシーンがたくさんあって、とにかくすばらしかったです」。
そのなかでも特に印象に残ったシーンとして、ウスナビが片思い中のヴァネッサを初めてデートに誘うシーンを挙げる。「落ち込んだ状態でウスナビの店にやってきたヴァネッサを元気付けたくて、冷蔵庫のガラスに息を吹きかけてニコちゃんマークを描いて…というシーンは、ウスナビという人をすごく表現しているなって。奥手なのかな?奥手なんでしょうね(笑)。なんで奥手なのかというと、やっぱりちょっと優しすぎるというか。むやみに女性に声をかけられないビビリな部分もあると思うんですけど、ウスナビは、すごく人を気に掛ける“気遣いの人”なんですよね。そんな彼の性格が表れていて、非常にキュートで素敵なシーンだなと思います」。
また、自身とウスナビの共通点について聞くと、「僕もめちゃめちゃ奥手なんですよ!」と意外な答えが返ってきた。「意外ですか?見かけ倒しなんですよね(笑)。僕も絶対、デートに誘えないです(笑)」。さらに「自分で言うと気持ち悪いかもしれないですけど…」と続ける。「自分のために頑張るよりも、人のために頑張りたい性格なんです。誰かを助けてあげたい、サポートしたいという気持ちがあって。自分もウスナビと同じ状況におかれたら、なんとかして仲間や家族が幸せになる方法を探すだろうなと思います。僕も普段から、自分のためになにかやろうと思っても、本気が出せないというか。一回もダイエットに成功したことないし(笑)。だけど、例えば誰かに『困ってるから助けてほしい』って言われたら、なんとしてでも助けると思います。そういう時に出す本気と、自分が痩せるためのダイエットの本気度は全然違いますね(笑)。ウスナビもそうで、みんなのために立ち上がる人。そういうところが近いのかなって思います。…あんまり自分で言うと変な感じになりますけど(笑)」。逆にウスナビと似てない部分について聞くと「ないな〜!」と即答。「『おいウスナビ、それは違うだろ〜!』と思ったシーンは全然ないかも。『わかる、わかるよ!』って常に思いながら演じていました」と振り返った。