役者歴25年を迎えたムロツヨシ、さらなる抱負も明かす「自分で自分に期待したい」
本広克行監督の『サマータイムマシン・ブルース』(05)で銀幕デビューを果たし、福田雄一監督作品などでお馴染みのコメディ演技から、今年公開となった初主演作『マイ・ダディ』(公開中)で新境地を切り拓いたシリアス演技まで、数多くの映画やドラマ、舞台で硬軟自在に役を演じ分ける俳優・ムロツヨシ。そんなムロが、初めて日本語吹替版声優を務めたドリームワークスのアニメーション映画『ボス・ベイビー』(18)の続編となる『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』が、12月17日(金)から公開される。
“見た目は赤ちゃん、中身はおっさん”というボス・ベイビーの声優を続投したムロに、作品についてはもちろん、役者としての今後の抱負などを聞いた。
「我が家にいるボス・ベイビーのぬいぐるみとよく目が合うんです(笑)」
今回の舞台は、前作から25年経った世界。大人になった兄のティム(声:宮野真守)は結婚し、2人の娘にも恵まれ専業主夫に。彼の弟で、ボス・ベイビーことテッドはスーパービジネスマンでエリート社長になっていた。そんな2人の元に、「悪の天才博士が世界征服を企んでいる」という情報をキャッチしたベイビー社から、ティムの次女ティナ(声:多部未華子)が“ボス・レディ”として派遣される。家族や世界を救うため、大人になったボス・ベイビーとティムが、スーパーミルクで赤ちゃん返りして潜入捜査に向かう。
日本でも大ヒットとなった前作に続く今回の続投だが、ムロはすぐにボス・ベイビーの感覚を取り戻すことができたと語る。「僕は普段、表情や動き、仕草ありきで芝居を成立させていますが、前作と同様に今回も声のみの表現になります。もちろん声の中にもいろんなお芝居はあるのですが、キャラクターの動きに合わせるというのは非常に不慣れなものでして、毎回大変です。ただ、今回は前の記憶をしっかり残しておきましたし、その時にプレゼントしていただいた大きいボス・ベイビーのぬいぐるみを部屋の隅の椅子に座らせて、よく目が合っていたので(笑)。そういった時間が、ボス・ベイビーにすっと入りやすくしてくれたかなと思っています」。
今回は、見た目も中身も本当の“おっさん”になったボス・ベイビーも登場する。「赤ちゃんの時は、少しだけ声の出し方に力を入れましたね。大人の体躯だと、虚勢を張っても普通に喋れるけど、赤ちゃんは体が小さい分、より胸を張ってしゃべることになるから、ちょっとだけ力をいれてみようかなと少しだけ意識した感じです」。
ハイセンスなコメディ要素やドラマ性で、大人にも刺さる作品として話題になった前作に続き、今作もいろいろな映画のオマージュや、パワーアップしたアクションシーンなど盛りだくさんの内容になっている。特にムロのお気に入りのシーンは「ボス・ベイビーが赤ちゃんのクラスに入って、すぐにリーダーシップをとり、力を合わせて上の窓に登ろうとするところですね。困った時に助けてくれる関係性が、ちょっとした休み時間にできていて、ボス・ベイビーがみんなから慕われているんだなって思えるシーンです」。
「ティムとタビサの親子の話は、『ボス・ベイビー』だからこそ描けるものだと思うんです」
本作は、ティムと長女のタビサ(声:芳根京子)、そしてティムとボス・ベイビーの兄弟を中心とした家族愛を描いている。「ティムとタビサの親子の話は、『ボス・ベイビー』の世界観だからこそ描けるものだと思うんです。僕は父親になったことはないけれど、自分が子どもになって、娘と同じ目線でクラスメイトとして話せるなんて素敵ですよね」。
お互い大人になり、疎遠になっていたティムとボス・ベイビーだが、後半では互いへの想いを打ち明け、思わずホロリとくる場面も。「大人になると、特に兄弟だとなかなか本音って言えないと思うんですよね。だけど、自分たちも子どもの姿をしていたからこそ言えた言葉や想いだったのかなと思います。大人になって疎遠になってしまったのは嫌い合っているわけじゃなく、本音を言えなかっただけなんだ、というシーンの描き方は、さらりとしているけどすごく素敵だなと思いました」。