役者歴25年を迎えたムロツヨシ、さらなる抱負も明かす「自分で自分に期待したい」

インタビュー

役者歴25年を迎えたムロツヨシ、さらなる抱負も明かす「自分で自分に期待したい」

「先輩から教わったことだけを後輩に伝えてもダメだ」

血縁関係に関わらず、共演者やスタッフなど、ムロは “ファミリー”を大事しているという印象を受ける。それ故にムロを慕う後輩も多く、相談されることもよくあるそうで「僕たち世代の役者は、『先輩方に教わったことをそのままやることが正解なんだ、いいことなんだ』と思ってきました。だからスタッフの方々を大事にするにも厳しくするにも、先輩たちのやり方や考え方を真似してやってきたけど、後輩たちにはそれだけを伝えてもダメだということに40歳になった頃気づいたんです」。

自身が目指す、スタッフや若い世代との関わり方についても語ってくれた
自身が目指す、スタッフや若い世代との関わり方についても語ってくれた撮影/興梠真穂

「自分たちがいろいろなことを試していかないと、若い世代にチャンスが増えていかない」と話すムロは、仕事やプライベートで関係性を築いていく時“変わっていく”ということを心掛けているそうで「例えば、いまは部活動の教育法一つにしてもいろいろと変わってきていますよね。そういう時代に、自分たちがなにかを伝えたり教えたりする側になった時、僕らなりにこれまでと変えていけることを考えてやってみて、その結果をまた下の世代に真似してもらいたいんです。それに〇×をつけてもらっても構わないし、みっともなくてもいいから、その前例は作るべきだと思っています。それがよくても悪くても、変えていこうとする姿勢を見せて実践しないと、僕たちの世代の仕事は終わらないなと思っています」と、語る言葉にも熱がこもる。

「もっと自分で自分に期待したい」

 
本作をはじめ、2021年はムロにとって初主演映画となった『マイ・ダディ』が公開され、一人娘が病に侵されながらも、前向きに生きていこうとする牧師役を熱演し話題になった。また、ドラマ「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」では、普段はのらりくらりしているが、部下が失敗した時にさりげなくフォローする交番所長役など、演じた役柄の振り幅も大きかった。「みなさんが知っている“ムロツヨシ”というのは、どこかコメディ要素が多く、これまでのお芝居でもそれを求められた部分も多かったのでやってきたのですが、この1年はコメディとはまた違う部分や、ずっと自分の中で溜めていたものを怖がらずにしっかり出せた年だったなと思います」。

今年は初主演作『マイ・ダディ』が公開されるなど、話題作への出演があとを絶たなかったムロ
今年は初主演作『マイ・ダディ』が公開されるなど、話題作への出演があとを絶たなかったムロ[c]2021「マイ・ダディ」製作委員会

大学在学中に役者を目指し、今日まで役者として走り続けてきたムロ。これからどんな顔を我々に見せてくれるのかと、つい期待してしまう。「出した分だけなくなるんじゃないかと思うから、きっと今後は怖がってくると思うんですよ。そういう意味では、来年は取り入れることと吐き出すことの楽しさやおもしろさに、自分で自分に期待したいですね。僕はアウトプットが多すぎるところがあるので、インプットの方法がまだ追いつけていないところが自分の足りないところだなと思うんです。いまは求められることが多すぎて、もちろんやりがいはすごくありますから、そのやりがいを越えて、さらに自分に期待するような1年にしたいです」。

「“いい感じにサボる”ことを実践していきたい」

仕事を頑張るためにも、適度な息抜きが必要だと話すムロ。「僕はここ数年前から、いろいろな場所で『いい感じでサボってくださいね』と言っているんです。僕たち日本人は、どうしても『遊んでいるのは楽をしている』といった考え方にとらわれすぎているから、頑張れる時に頑張るためのサボり方や休み方を、もうちょっと自分も取り入れないと思います。楽しい時間をもうちょっとお仕事以外で作らないと、お仕事で人を惹き付けられないと思うんです」。

【写真を見る】役者歴25年を迎えたムロツヨシ、笑顔&クールな撮り下ろし
【写真を見る】役者歴25年を迎えたムロツヨシ、笑顔&クールな撮り下ろし撮影/興梠真穂

今年で役者歴25年目という節目を迎えたムロだが、役者を辞めたいと思ったことは1度もないという。いままで続けてこられた原動力になっているものを聞くと「37歳までは役者の仕事でご飯が食べられるように成立させることだけを考えていました。でも、37歳からは自分がいいと思う表現やお芝居を出せているというやり甲斐を感じ始めたんです。 “自分が自分に期待する量”が、前より形が変わっているというか。過去の成功体験や失敗したものを避けてやっている自分が嫌なんです。『マイ・ダディ』からはそれをすべてゼロにしてみたら、やっぱり自分らしいと思ったんですよね。なので、これからはいままでの成功体験を蹴るぐらいの勇気を持ってなにかできたらいいなと思うし、その気持ちが役者を続ける原動力になっていると思います」。

取材・文/根津香菜子


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