マシュー・ヴォーン節炸裂の過激な演出に史実を基にしたストーリー…『キングスマン:ファースト・エージェント』を楽しむ3つのポイント
新感覚のスパイアクションとして2010年代後半を席巻した「キングスマン」シリーズ。その第3弾となる『キングスマン:ファースト・エージェント』が、12月24日(金)にいよいよ公開!見た目は折り目正しい英国紳士だが、その正体は知力と体力に優れ、なおかつ礼儀をわきまえた凄腕のエージェント、通称“キングスマン”。前2作では、そのエース級スパイのハリー(コリン・ファース)と、彼に素質を見いだされた若きエージェント、エグジー(タロン・エガートン)の絆や活躍が描かれたが、本作では、この極秘諜報組織“キングスマン”の誕生の秘密、すなわち前日談が語られるという。言うまでもなく、本作もこれまでのシリーズ同様、特筆すべきところが盛りだくさん。本稿ではそれらを3つのポイントに分けて紹介していきたい。
第一次世界大戦を終結させようとしたある英国紳士の物語
まずは簡単に、本作のあらすじを。舞台は1910年代、第一次世界大戦の影が忍び寄るヨーロッパ。英国の名門貴族、オックスフォード公(レイフ・ファインズ)は亡き妻が死に際に遺した言葉に従い、幼い息子コンラッドを戦争の脅威にさらさぬようにと、世界平和を維持するための極秘の諜報活動に尽力していた。一方で、戦争を引き起こして世界を混乱に陥れようとする闇の狂団の陰謀が進行。やがて恐れていた世界大戦が勃発してしまう。オックスフォード公は、戦地へ行くことを使命と信じる正義感あふれる青年に成長したコンラッド(ハリス・ディキンソン)を仲間に引き入れ、狂団の計画を阻止することで戦争を終わらせようと奔走するのだが…。
POINT 1:シリーズの重要人物、マシュー・ヴォーン監督が作り上げた強烈なバイオレンスに軽妙なユーモア
最初に注目してほしいのは、「キングスマン」シリーズとのリンク。『キック・アス』(10)のイギリス人監督、マシュー・ヴォーンが前2作に続いて監督、脚本、製作を手掛けており、その点だけでもシリーズの世界観を踏襲していることは想像できるだろう。
オックスフォード公の英国紳士然としたキャラクターは、「キングスマン」に不可欠の要素であることは言うまでもない。シリーズには欠かせない、ロンドンはサヴィル・ロウにある、高級テーラーを隠れ蓑にした(のちの)“キングスマン”のアジトは、今回も重要な拠点となり、オックスフォード公とコンラッドも、ここで仕立てたスーツをビシッと着こなしている。
前2作でおなじみとなった「マナーが人をつくる」という名セリフも飛び出すうえに、2作目『キングスマン:ゴールデン・サークル』(17)に登場したアメリカにある姉妹組織“ステイツマン”に関する言及もさりげなく登場。ドラマの点では、前2作のハリーとエグジーの関係を疑似親子のように描いていたが、今回のオックスフォード公とコンラッドでもリアル親子ならではの愛情と葛藤のエピソードがあり、想像以上にグッとくる展開になっている。もちろん、ヴォーンの演出の切れ味も快調で、高低差のある場所でのアクションや強烈なバイオレンス、軽妙なユーモアも健在だ。