アカデミー賞に向け視界良好!スピルバーグ監督『ウエスト・サイド・ストーリー』が北米初登場V

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アカデミー賞に向け視界良好!スピルバーグ監督『ウエスト・サイド・ストーリー』が北米初登場V

スティーヴン・スピルバーグ監督の3年半ぶりの新作となる『ウエスト・サイド・ストーリー』(2022年2月11日日本公開)が、初登場1位を飾った先週末(12月10日から12日)の北米興収ランキング。2021年も残りわずかとなり、ホリデーシーズンに合わせた大作が相次いで公開される12月。同時にこの時期は、すでに賞レースをにぎわせている有力作に対抗しうる強力なタイトルが公開される時期でもある。『ウエスト・サイド・ストーリー』は、まさにその一本というわけだ。


1961年の名作ミュージカル映画をリメイクした『ウエスト・サイド・ストーリー』
1961年の名作ミュージカル映画をリメイクした『ウエスト・サイド・ストーリー』[c]2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

1961年にロバート・ワイズとジェローム・ロビンズが手掛けたミュージカル映画の不朽の名作『ウエスト・サイド物語』をリメイクするという、スピルバーグの念願の企画となった同作。オリジナル版はちょうど60年前の第34回アカデミー賞で11部門にノミネートされ10部門を席巻。そこで助演女優賞を受賞したリタ・モレノが再び出演したことも話題になっているが、制作が本格的に始まった段階からアカデミー賞への期待は高まる一方であった。

コロナ禍によって丸1年の公開延期となったが、それも結果的にはオリジナル公開60周年というタイミングとマッチ。そして初日から3日間の興行収入は2820館で1057万ドルと決して爆発的な数字ではないものの、しっかりと初登場1位を獲得。なんといっても批評面の好調ぶりが目を引き、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家の93%、観客の95%から好意的レビューが寄せられている模様。

ミュージカル映画が絶好調の2021年、アカデミー賞への期待がさらに高まる
ミュージカル映画が絶好調の2021年、アカデミー賞への期待がさらに高まる[c]2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

先ごろノミネートが発表されたゴールデン・グローブ賞やブロードキャスト映画批評家協会賞などの重要な前哨戦にも12月公開ながら滑り込みを果たし、後者では現時点の最有力と目される『ベルファスト』(2022年3月日本公開)と肩を並べる最多11部門候補と、アカデミー賞に向けて視界良好。今年は『tick,tick...BOOM!チック、チック…ブーン!』(Netflixにて独占配信中)などミュージカル映画が例年にも増して絶好調であり、そのなかでも候補資格獲得ギリギリの12月公開で大きなインパクトを残したことは、かなり有利に働くと見られている。

【写真を見る】オスカー前哨戦で勢いづく『ドライブ・マイ・カー』は上映館数を増やしてランクアップ!
【写真を見る】オスカー前哨戦で勢いづく『ドライブ・マイ・カー』は上映館数を増やしてランクアップ![c]2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

さて、そんな賞レースで善戦を繰り広げている濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』(日本公開中)は、公開3週目にして上映館数を24まで増やし、21位までランクアップ。すでに国際長編映画賞レースのみならず、近年グローバルな視点を持ち合わせている監督賞や作品賞での候補入りまで期待されるようになった同作。北米での配給会社が賞レース慣れしていないというネックがあるが、前哨戦のいまの勢いを年明けまで継続できれば、その可能性はさらに高まるだろう。

このほかには、J.K.シモンズ出演の『National Champions』が13位に、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17)のショーン・ベイカー監督の最新作『Red Rocket』が6館での限定公開ながら19位に初登場。『ミラベルと魔法だらけの家』(日本公開中)など前週の上位作品はひとつずつランクを落とし、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(日本公開中)は公開11週目にしてベストテンに返り咲いた。

文/久保田 和馬

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