「クレヨンしんちゃん」だけじゃない!吹替声優・矢島晶子と『ホーム・アローン』の深いつながり

コラム

「クレヨンしんちゃん」だけじゃない!吹替声優・矢島晶子と『ホーム・アローン』の深いつながり

“矢島吹替えの真骨頂”と語り継がれるフジテレビ版第2作

ある意味“定番”(?)なこの表情。彼の心情がよく伝わってくる(『ホーム・アローン2』)
ある意味“定番”(?)なこの表情。彼の心情がよく伝わってくる(『ホーム・アローン2』)写真:EVERETT/アフロ

続編『ホーム・アローン2』(92)でも、ソフト版は折笠がケビン、矢島はフラーを担当。1997年の「ゴールデン洋画劇場」で放送されたフジテレビ版では、再び矢島がケビンを演じるなど前作を引き継いだ布陣になっている。なお、1996年の「日曜洋画劇場」での放送では、テレビアニメ「東京リベンジャーズ」でマイキーこと佐野万次郎を演じてブレイクした林勇が同役を担当していた。

『ホーム・アローン2』でのケビンは、たかりグセのある叔父のフランクに向かって、「1セントも出さないドケチがよく言うよ」と発言して周囲を凍りつかせるなど、生意気さもグレードアップ。ファンの間でもフジテレビ版は、“矢島吹替えの真骨頂”と語り継がれているので、こちらの再放送も心待ちにしたいところ。

ケビン同様、様々な手段で泥棒退治に挑んでいく(『ホーム・アローン3』)
ケビン同様、様々な手段で泥棒退治に挑んでいく(『ホーム・アローン3』)写真:EVERETT/アフロ

シリーズはさらに続き、1997年にはスタッフ&キャストを一新して『ホーム・アローン3』も製作。ストーリーのうえでも前作とのつながりはなくなったが、本作にも矢島は主人公アレックスの吹替えで続投している。しかも、ソフト版と、2001年の「ゴールデンシアター」で放送されたフジテレビ版の両方で!さらに、2019年の「金曜ロードSHOW!」放送で寺田心がアレックス役を担当して新録された際にも、矢島はオウムの声でカメオ出演していた。これらのことから、「ホーム・アローン」シリーズと彼女の結びつきが、いかに強いかがわかっていただけるだろう。


「ホーム・アローン」以外でも子役の吹替えで大活躍!

並外れたフォースの力を持って生まれた少年アナキン・スカイウォーカー(『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』)
並外れたフォースの力を持って生まれた少年アナキン・スカイウォーカー(『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』)写真:EVERETT/アフロ

「ホーム・アローン」シリーズ以外でも、矢島は数多くの日本語吹替えを担当し、その作品ラインナップもそうそうたるもの。バージョンについては割愛するが、『スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス』(99)での、のちのダースベイダーことアナキン・スカイウォーカー(ジェイク・ロイド)や、『シックス・センス』(99)の幽霊が見える少年(ハーレイ・ジョエル・オスメント)、リメイク版『ベスト・キッド』(10)のジャッキー・チェン演じるカンフーの達人に弟子入りする少年(ジェイデン・スミス)などなど。このほか、『ジュマンジ』(95)や『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94)、『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』(84)、『インデペンデンス・デイ』(96)、『モールス』(10)、『ダーク・シャドウ』(12)といった様々なヒット作、話題作でも彼女の声を聞くことができる。

強い霊感を持つ少年コールと、精神科医のマルコムの姿を描いた『シックス・センス』
強い霊感を持つ少年コールと、精神科医のマルコムの姿を描いた『シックス・センス』写真:EVERETT/アフロ

一方で、子どもらしいキャラクターのイメージがある矢島だが、『パニック・ルーム』(02)ではクリステン・スチュワート演じるどこか擦れた少女の声をクールに表現。リメイク版『オーメン』(06)の悪魔の子、ダミアン(シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック)や『エスター』(09)に登場する周囲の大人を翻弄する謎めいた少女エスター(イザベル・ファーマン)も担当しており、その不気味な空気感には戦慄させられる。

糖尿病を患う少女サラは、大人びた性格をしている(『パニック・ルーム』)
糖尿病を患う少女サラは、大人びた性格をしている(『パニック・ルーム』)写真:EVERETT/アフロ

「ホーム・アローン」シリーズをはじめ、日本語吹替えでもその豊かな演技力を発揮してきた矢島晶子。『ホーム・アローン』をきっかけに、彼女が担当してきた作品にあらためて触れてみてはいかがだろうか。

文/サンクレイオ翼