“貞子”を生みだした高橋洋と“伽耶子”を生みだした清水崇が対談!Jホラーの原点『女優霊』誕生秘話を語り合う

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“貞子”を生みだした高橋洋と“伽耶子”を生みだした清水崇が対談!Jホラーの原点『女優霊』誕生秘話を語り合う

日本初のホラー映画専門コンペティションとして開催され、12月26日に第1回の授賞式を終えた「日本ホラー映画大賞」。その関連イベントとなる「3夜連続名作ホラー上映&トークイベント」の第2夜が28日にEJアニメシアター新宿にて行われ、中田秀夫監督の『女優霊』(96)が上映。上映前のトークイベントに同作で脚本を務めた高橋洋と、日本ホラー映画大賞で選考委員長を務めた清水崇が登壇した。

『女優霊』は、後に「リング」シリーズを世に送りだす中田と高橋が初タッグを組んだ“Jホラー”の原点的作品。初監督作品の準備に勤しんでいた新人監督の村井は、テストフィルムのなかでまったく別の映像を見つけてしまう。その映像を子どもの頃に見た記憶がある村井は、ある日そこに映っていた髪の長い女を目撃。それを境に撮影現場で次々と奇怪な現象が起こることに。2010年には香港のフルーツ・チャンのメガホンでハリウッドリメイク版も製作されている。

第1夜の黒沢清につづき、映画美学校時代の講師との対談に清水は「昨日も今日も僕の人生をひっくり返してくれた、頭の上がらないお二人ですので緊張しています」と述懐。そんな清水に対し高橋は、黒沢と同様、清水が映画美学校の最初の課題として提出した『呪怨』の原点となる映像を絶賛。そこから『女優霊』へと話題が移っていく。

「行定勲さんから聞いた怖い話をそのまま使わせてもらいました」(高橋)

『女優霊』で脚本を務めるなど、Jホラーブームを支えてきた高橋洋
『女優霊』で脚本を務めるなど、Jホラーブームを支えてきた高橋洋


高橋「中田監督がイギリス留学から帰ってきて、日活撮影所を離れてフリーになる背水の陣として何本も企画を書いていました。そのなかの一本に『ジャンクされた女優』というタイトルの短いプロットがあり、日活撮影所を舞台にお蔵入りになった映画の女優が自殺し、そのフィルムが偶然発見され、観た人が呪われていくという『女優霊』の骨格になるものがありました。それを当時、WOWOWで新人監督に映画を撮らせようとしていた仙頭武則さんが見つけて、低予算かつ短期間で撮影しましたね。

僕自身は自主映画出身なのでピンとこなかったのですが、撮影所の天井からライトバトンを吊るすキャットウォークがすごく怖いと中田監督が言っていたので、実際に登ってみてここをクライマックスの舞台にしようと脚本を書き始めました。当時Vシネマの脚本もやっていて、とある映画の撮影の現場で起きたことや、そこでセカンド助監督をしていた行定勲さんから聞いた、あるスタジオでライトバトンの上に座ってた女の子の話が怖くて、そのまま使わせてもらったりしました」

清水「撮影所は普通の方は知らないと思うのですが、実際かなり怖いんです。上に照明部だけが行き来する通路があって、誰かが必ずウロウロしている。昔は木でできていたけど、いまは最新式で綺麗になってあの怖さはなくなってきているんですが…」

高橋「東宝の撮影所だともうきれいになっていますよね。日活はどうなんでしょう」

清水「日活はまだ多分…。僕も『女優霊』が撮影所を舞台にしているのを見て、自分なりに使えないかと思って『輪廻』をやりました」

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