お祝いムードを盛り上げる!ハレの日にぴったりの“ごちそう”が出てくる映画7選
家族や親類、大切な友達が集まる機会が増えるこの時期。今年も大々的な“大騒ぎパーティ”は控えめかもしれないけれど、むしろそんないまこそ人間関係も料理自体も、ゆっくり深く味わえるチャンスかも。だって心のこもったご馳走は、お腹だけでなく心も満たしてくれるから。そんな温かなご馳走と人間ドラマを味わえる映画を紹介。しかも、古今東西、“料理シーンの優れた作品に駄作なし”。
シロさんとケンジがおせち料理に挑戦!…『劇場版「きのう何食べた?」』
まずは、“心のこもった料理”というキーワードで一躍注目を浴びているのが『劇場版「きのう何食べた?」』(21)。シロさん(西島秀俊)がケンジ(内野聖陽)のために作るレシピは、どれもこれも体にも優しそうで愛情たっぷりで美味しそう!劇場版では、シロさんがケンジとふたりで過ごすお正月のために、おせち料理に挑戦する。ストーリー的には、実家に帰ろうとしていたシロさんの、実はちょっぴり切ない事情もあるけれど…。それでもシロさんが心をこめて作る“ささやかなお節”は、艶やかな黒豆の煮物、ほたて貝柱入りの色鮮やかな紅白なます、卵焼き。“ふっくら”お豆を焚き上げるために、なんと8時間も費やすとは!そしてもちろんお正月だもの、お雑煮も。シロさんが作るのは、関東風の具沢山お雑煮。どんな料理も、「太る~」と言いつつ幸せそうに食べるケンジの表情に、誰もが最大級の“ほっこり”を味わえるはず。さらに、“おもてなし”にピッタリのご馳走も登場。ご近所に住む主婦・佳代子さん(田中美佐子)が教えてくれる“なんちゃってローストビーフとアクアパッツァ”は、見た目は豪華で、作り方は簡単。シロさん、ケンジ、食材をもたらした小日向さん(山本耕史)とワタルくん(磯村勇斗)も、大絶賛しながら次々に平らげる折り紙付きの美味しさ。〆のアクアパッツァのスープで作るリゾットに至るまで、垂涎のし通しなので、鑑賞時にはメモを持ってスタンバイしたい。
黄金色のターキーが家族の絆をつなぐ…『エイプリルの七面鳥』
そして西欧に目を向けると、おもてなし料理として真っ先に思い浮かぶのが、七面鳥料理。家族や一族が集まる感謝祭(イースター)やクリスマスで、オーブンから取り出される丸々とした黄金色のターキーは、長らく日本人の憧れでもあった。家族ドラマ『エイプリルの七面鳥』(03)は、イベントの主役ともいえるローストターキーが上手く焼き上がるのか否かに、断絶した母と娘の和解の行方、家族の再生が重ねて描き出される逸品だ。母とそりが合わずに家を飛び出し、NYで暮らすエイプリル(ケイティ・ホームズ)が、母の大好きなローストターキーを作ることを決意し、家族を招待する。一方、車でNYに向かう家族が車中で繰り広げるちょっとした騒動――。厳格な母親(パトリシア・クラークソン)とエイプリルの感情の齟齬、反発し合いながらも本当は互いに心を砕き、理解したい/されたいと願っている母娘関係の行方に、ハラハラし通し。涙なしに観られない爆発級の感動作だ。
波乱の感謝祭ディナーを彩る七面鳥料理…『ホーム・フォー・ザ・ホリデイ』
ジョディ・フォスターが監督した『ホーム・フォー・ザ・ホリデイ』(95)も、物語の舞台は感謝祭。シカゴ美術館に勤める長女のクローディア(ホリー・ハンター)は、帰省する予定のその日に、いきなりクビを言い渡される。その上、娘(クレア・デインズ)からは、ママの留守中にセックスすると宣言され、踏んだり蹴ったりの気分。久々に家族が集まった実家で、それぞれが抱える秘密や問題が、七面鳥料理が登場する夕食で次々と暴露されていき…。しかも真面目な妹が、七面鳥のソースでベタベタになるアクシデントも!! クローディアの弟にロバート・ダウニーJr.、母にアン・バンクロフトなど、錚々たる俳優陣が言い合いを繰り広げる風景も、もはや家族が集まるイベントの風物詩か。ちょっとシニカルでクスクス笑えるホーム・コメディだ。
異なる時代に生きる2人のアメリカ人女性がフランス料理を作りまくる…『ジュリー&ジュリア』
伝説の料理家ジュリア・チャイルドと、彼女の全レシピ524品を制覇しようとするブロガーのジュリー・パウエル、実在する2人の実話を過去と現在を絡めて描き出す『ジュリー&ジュリア』も、当然ながら垂涎もののお料理が満載!ジュリーが“完璧”を目指して悪戦苦闘するポーチドエッグをはじめ印象に残る料理は枚挙にいとまないが、2人に共通して、運命を切り開く料理となるのが「ブフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮込み)」という一皿。牛肉を焼き付けた後、マッシュルームなどを炒めて、赤ワインを注いでお鍋ごとオーブンへ。湯気の中から現れるトロトロなお肉の香ばしさが匂ってきそう!メリル・ストリープ&エイミー・アダムス主演の、“人生を切り開くお料理映画”の決定版だ。