『呪怨』OV版レア上映に“伽耶子”本人が降臨!清水崇×藤貴子が語る、最恐ホラーアイコンの秘密
日本初のホラー映画専門コンペティションとして開催され、12月26日に授賞式を終えた「日本ホラー映画大賞」。その関連イベントとなる「3夜連続名作ホラー上映&トークイベント」の第3夜が29日にEJアニメシアター新宿にて行われ、日本ホラー映画大賞で選考委員長を務めた清水崇監督の『呪怨(ビデオオリジナル版)』(00)が上映。上映前のトークショーに清水監督と伽耶子役の藤貴子が登壇した。
東映Vシネマとして製作された『呪怨(ビデオオリジナル版)』は、清水監督の記念すべき長編デビュー作。不登校の佐伯俊雄の家に家庭訪問にやってきた小学校教員の小林俊介は、そこで俊雄の母・伽耶子の日記を見つけ、彼女が大学時代の同級生であることを知る。そして時間が流れ、佐伯家が暮らしていた家に住む村上家の長女・柑奈の家庭教師をしていた従姉の由紀は、2階の部屋で奇妙な物音を聞いてしまう。
清水監督が映画美学校時代に課題として制作した「家庭訪問」を皮切りに、「学校の怪談G」に収録された「片隅」、そしてビデオオリジナル版の『呪怨』『呪怨2』、劇場版の『呪怨』(03)、『呪怨2』(03)。さらにはハリウッド版の『THE JUON/呪怨』(04)、『呪怨/パンデミック』(06)と、清水監督が手掛けた「呪怨」シリーズすべてで伽耶子役を演じている藤。その起用のきっかけや裏話、演じる上での心構えなどを語っていった。
「舞台を見てピンときて、お願いできないだろうかと」(清水)
清水「映画美学校の課題で、階段を這いずり降りてくる幽霊というか化け物というかの役を探していた時に、僕の大学の同級生に女優さんをやってる人が何人かいて、その人の舞台を見に行ったんです。そこに藤さんが出演していて、なんとなくピンときて、あの人にお願いできないだろうかと同級生に紹介してもらったのが始まりでした」
藤「その演劇はちょっとアングラ寄りだったんですけどホラーでもなくて、家政婦かなにかの役で台詞も少なくて。ただ真っ白な衣装を着ていたので、そこでピンときたんですかね(笑)」
清水「僕もなににピンときたのか全くわからないんです(笑)」
藤「当時はどんな役でもやってみたいと思っていて、お化けの役はなかなかやる機会がないのでお引き受けしました。でも撮影の日に大遅刻してしまって…。監督のご友人のお宅をお借りして撮影したんですがとても遠いところにあって。でもものすごい待たされたので全然大丈夫だったという思い出が」
清水「早めに入ったつもりが散々待たされるというのは、僕の現場ではいまでも一緒です(笑)」
藤「それで撮影が終わったのは、たしか夜中でしたよね?」
清水「…」
藤「覚えてないんですか!?(笑)血塗れだったのでお風呂も借りて、階段の血糊をみんなで拭いて帰ったんです。幽霊の役だってことは最初から聞いていたんですけど、階段を降りるというのは聞いていなくて。あとメイクも監督がこういう感じで、と言ってその場で見ながら。メイクさんとは結構難しいね、って話で」
清水「僕は自主映画のサークルにも顔を出していて、メイクさんもそこで知り合った同い年の人で。スタッフやキャストから機材まで全部自分で揃えるというのも課題の一つだったんです。それは多分人を集める力やコミュニケーション能力とか、作品に仕上げる力を測る狙いがあったんだと思いますね」
藤「ただカツラはパーティグッズのを使っていたんで、長い髪というよりはボワッと広がっていて」
清水「それがVシネから映画になって、ハリウッドと。だんだん良くなっていって最終的には人毛のカツラを用意してもらえるようになりましたね」