人間と動物の交流がユニーク!『パディントン』『ベイブ』まで、名作児童文学の映画化まとめ
かわいいだけじゃない!いろんなことを教えてくれる名作たち
同じくイギリスを舞台に、人とウサギが家族になるのは『ピーターラビット』(18)、そして『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』(20)。ご存知、ビアトリクス・ポターの同名児童文学を翻案した実写映画。絵本から飛び出して来たような、青や赤のシャツを着たピーターら、ウサギたちの姿が生き生きと可愛い。とはいえ日本人がピーターに対して持っていたイメージと大きく異なり、意外とピーターが腕白なことに驚く。そんなピーターを敵視するのが、ピーターが大好きなビアの隣に住む青年マクレガー。ピーターvsマクレガーの闘いの末に、どんなことが起きるのか!?まずはピーターたちの大活躍を楽しもう。
ブタが大活躍する『ベイブ』(95)は、イギリスの児童文学作家ディック・キング=スミスによる「The Sheep-Pig」の実写映画化。のどかな農場にもらわれてきた子豚のベイブが、農場の動物たちと交流しながら、牧羊ブタを目指して奮闘する物語。最初は“後々、太らせて食べよう”と思っていた農場主が、一生懸命役に立とうとするベイブに一目置くようになり、牧羊ブタになるために教育をはじめる。動物同士の、そして人間と動物の、理解と信頼が感動的!続編『ベイブ/都会へ行く』(98)も作られる大ヒットに!もちろん子ブタのベイブの可愛さにもほだされる。
これでもかと動物たちが入り乱れて登場するのは、もはや知らない人がいないだろう、ヒュー・ロフティングによる児童文学「ドリトル先生」シリーズを、実写映画化した『ドクター・ドリトル』(98)。実は名医でもある動物と会話できるドリトル先生が、王室から女王の治療依頼を受ける。ドリトル先生は一緒に暮らす動物たちを連れ、治療法を求めて伝説の島へと出発する。オウム、ゴリラ、ホッキョクグマ、ダチョウにアヒル、イヌにリス、もう、ありとあらゆる動物が登場。それぞれ持ち味を生かしながら、冒険の旅の途中で活躍(あるいは邪魔)する姿こそ、本作の醍醐味か。2020年に、ロバート・ダウニー・Jr.主演で再映画化されたのも話題になった。
最後は、異色の生き物が登場!E・B・ホワイトによるベストセラー小説を、実写映画化した『シャーロットのおくりもの』(06)。農場の娘(ダコタ・ファニング)に育てられた子ブタのウィルバーが、いずれ自分は殺されて食べられると知って大きなショックを受ける。それを励ますのが、クモのシャーロット。そう、タイトルになっているシャーロットとは、クモのこと。友達のウィルバーを救うため、シャーロットが起こす奇跡に感心、感動!そして“人間は自分たちを食うために、自分たちを育てている”と憤る動物たち、虫たちをムシャムシャ食べながら、心を込めて「いただきます」「ごちそうさま」と言う達観したシャーロットの姿から、色んなことを感じさせ、教えられるハズだ。
子どもはもちろん、大人だからこそ感じ取れるメッセージが詰まった、ファンタジックな児童文学を元にした映画がズラリ。動物たちの可愛い姿に癒され、その真っ直ぐな姿にウルウルしながら、大切なものを再確認してみては?
文/折田千鶴子