北米ランキングは『スクリーム』最新作が『スパイダーマン』を撃破!『竜とそばかすの姫』も初登場
先週末(1月14日から16日)の北米興収ランキングは、4週連続で1位をキープしていた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(日本公開中)がついに陥落。1990年代後半に一世を風靡したスラッシャーミステリーの代名詞「スクリーム」シリーズの11年ぶりの最新作『Scream』が見事初登場1位を飾り、2015年にこの世を去ったシリーズの生みの親ウェス・クレイヴンに大金星を捧げた。
1996年に製作された第1作『スクリーム』は、ウッズボローという田舎町に暮らす女子高生のシドニーを中心に、白いマスクを被った連続殺人鬼との攻防を描き、若年層を中心に熱烈な支持を獲得。その後1997年に第2作、2000年に第3作、2011年に第4作とシリーズ化。クレイヴン監督やネーヴ・キャンベル、デヴィッド・アークエット、コートニー・コックスと、監督やメインキャスト陣が一切変わらずに受け継がれてきた、ホラーシリーズとしては珍しい作品だ。
前作の公開前の段階ですでに新たなシリーズのスタートが噂されていたものの、クレイヴンのシリーズ離脱や死去、テレビシリーズ版の製作、さらにエグゼクティブ・プロデューサーを務めてきたハーヴェイ・ワインスタインの事件が明るみになるなど様々な出来事に見舞われ、企画は一時立ち消え状態に。その後2019年にシリーズの再始動が発表され、『レディ・オア・ノット』(19)の監督コンビの就任やオリジナルキャストの続投などが決定。コロナ禍により数か月の撮影延期となったことで、シリーズ25周年の節目となる2021年の公開を見送っていた。
ナンバリングが振られていないタイトルから推察される通りリブートとしての要素を加えながら、正式な続編でもある本作。初日から3日間のオープニング興収は3000万ドルを記録し、前作のオープニング成績である1869万ドルを上回るだけでなく、2500万ドルほどと言われている製作費もすでに回収済み。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家からの評判も成功作といわれた第1作や第2作と同水準のまずまず高い評価を集めており、オリジナルキャスト陣はすでに6作目への意欲を示しているとも報じられている。
ちなみに『Scream』の脚本と製作を務めたのは、『アメイジング・スパイダーマン』(12)の脚本家ジェームズ・ヴァンダービルトというのも奇妙な縁だ。そんな意外な刺客の登場によって首位陥落となった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』だが、5週目末でも2000万ドルを売り上げる安定した興行を持続。祝日となった月曜日の段階で北米累計興収は7億ドルを超え、ついに『ブラックパンサー』(18)を超えて北米歴代4位に浮上。3位の『アバター』(09)までは6000万ドル弱の差があり、どこまでそれを縮めることができるだろうか。
また6位には『Belle』の英題で公開されている細田守監督の『竜とそばかすの姫』が初登場。1326館で興行収入164万5800ドルは、2年前の同じ時期に公開された『天気の子』(こちらは水曜日公開だったが)の初週末の興収180万ドルをやや下回る。『未来のミライ』(18)につづくアカデミー賞長編アニメーション賞への候補入りが期待されている同作は、現在の位置取りとしてはエントリー26作品のなかでも間違いなく上位のポテンシャルを持ち合わせているものの、候補確実とはまだ言い切れないところ。それでもノミネーション投票が始まる直前のこのタイミングで存在感を示したことは、最後の一席にすべり込むための後押しとなることだろう。
文/久保田 和馬