池松壮亮が“一番言いたくなかった台詞”とは?伊藤沙莉と挑んだ直球ラブストーリー『ちょっと思い出しただけ』プレミア開催

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池松壮亮が“一番言いたくなかった台詞”とは?伊藤沙莉と挑んだ直球ラブストーリー『ちょっと思い出しただけ』プレミア開催

池松壮亮伊藤沙莉がW主演を務めた映画『ちょっと思い出しただけ』(2月11日公開)の東京プレミア上映会が、1月23日にヒューマントラストシネマ渋谷で開催され、池松、伊藤、主題歌「ナイトオンザプラネット」を手掛け、出演もしたクリープハイプの尾崎世界観、松居大悟監督が舞台挨拶に登壇。池松は初共演の伊藤について「伊藤さんって妖精らしいです」と驚きの発言をした。

池松は「それを車のなかで聞いて、なんて返せばいいのかわからなかった。信じたほうが盛り上がると思って『確かに、そういうところがありますね』と言ったんです」とコメント。

元ダンサー、照生役の池松壮亮
元ダンサー、照生役の池松壮亮

伊藤は「信じてくれてるのかと思ってた」とびっくりし「占い師さんに言われたんです。『あなた、人間ではない。あなたは妖精です』と。響きとしてかわいかったし、うれしいし、周りの友だちも『言われてみれば、あまり人間ではないかもしれない。ごめんね、気づかなくて』みたいな感じだったから、受け入れてくれたのかなと思った」と、不思議ちゃんぶりを炸裂。

松居監督もそんな伊藤について「つかみそうでつかめなかったりする感じかな」とうなずくと、伊藤は「もういい!いいです」と苦笑するも、池松から「ちゃんと言ったほうがいいよ」と再度促されると、伊藤は「妖精です」と宣言し、会場の笑いをとった。

タクシードライバー、葉役の伊藤沙莉
タクシードライバー、葉役の伊藤沙莉

『ちょっと思い出しただけ』は、怪我でダンサーの道を諦めた照生(池松壮亮)とタクシードライバーの葉(伊藤沙莉)の交流を繊細かつユーモラスに描くラブストーリー。『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画をつくったら〜』(21)や『くれなずめ』(21)の松居監督がメガホンをとった。第34回東京国際映画祭でコンペティション部門に選出され、観客賞とスペシャルメンションを受賞した。

久しぶりにド直球なラブストーリーに出演した池松は「なかなか縁がないもので。やっぱり照れくさいですね。とても恥ずかしかったです」と苦笑い。「伊藤さんとは初めてでしたが、今回2人の6年間を体現していかないといけなかった。僕はスッと(距離を)詰めることが苦手なので、1日2つくらい質問しながら詰めていきました。最終的には2人で同じ方向を向けたと思ってます」と手応えを口にした。


伊藤は「最初は緊張していて、池松さんに『ラブストーリーって得意ですか?』と聞いたら『はい!?』と言われて、質問を間違えたと思いました(苦笑)。お芝居をしていくなかで、どんどん掛け合いをしていくなかで、歩み寄っていければいいなと思いながらやっていきました」と撮影を振り返った。

全員でフォトセッション
全員でフォトセッション

池松は「一番言いたくない台詞があって。『夢で待ち合わせね』って言うんです。そんなの、なんで言わなきゃいけないのか、わからなくて。松居監督に『なんでこんなの書いたの?』と聞いたら、『俺、けっこう言う』と言われて、すごいなと思いました」と松居監督をいじる。

松居監督は照れることもなく「寝ると会えなくなっちゃうってのがあるじゃないですか。ずっとつながってる感じが良かったんです」と言うと、尾崎が「寝る時は休んだほうがいい」とツッコんだ。

伊藤は「池松さんに、すごいびっくりされたんですが、私はうれしかったんです。安心して眠りにつけると。孤独じゃないと。(台詞について)『私、けっこう好きです』と言ったら、『ええ~!』と言われ、いろんな感じ方があるんだなと思いました」と言うと、尾崎も2人の同シーンについては「いいなと思って見てました。池松の台詞も違和感なくて」とうなずいた。

最後に伊藤が「私は個人的に、シンプルにこの映画が大好きなので、皆さんに届くことが本当にうれしいんですが、この作品を観て、なにを“ちょっと思い出す”んだろうかということに興味があります。こんなご時勢ですが、多くの方に届くといいなと」と言うと、池松も「時代の変わり目に、みんながコロナという圧倒的なものを経験して、圧倒的に戻れないあのころがあって、そういうことにまつわる映画になってます。自分がどこにいたのか、自分がどこに属するのかを観てもらって、いつか来る夜明けを、皆さんと迎えられたなと思っています」と締めくくった。

取材・文/山崎伸子

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