そこまで再現!?プレイヤーにこそ観てほしい、新たな映画「バイオハザード」の幕開け
「バイオハザード」の土台となる第1作と第2作が見事に融合した『~ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』
『~ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、まさに「バイオハザード」シリーズの元祖とも言える前述の2作を融合させ、一つの物語として再構築した作品になっている。ラクーンシティにまつわるある噂の真実を探るべく、かつて暮らしていた町に戻り、兄のクリス(ロビー・アメル)と再会しようとするクレア(カヤ・スコデラリオ)。同じ時期にラクーンシティ警察署に赴任することになったレオン(アバン・ジョーギア)。2人の到着と時を同じくして、警察署の“S.T.A.R.S.”のアルファチームは、町の郊外で消息を絶ったブラヴォーチームの捜索の命令を受けて現場へと向かう。アルファチームのウェスカー(トム・ホッパー)、クリス、ジル(ハナ・ジョン=カーメン)らが仲間たちが消えた場所に近い館の中を探索を開始する。
その頃ラクーンシティには、人間に襲いかかるゾンビがあふれ始める。兄を追って警察署に到着したクレアは、レオンや警察署長のブライアン・アイアンズ(ドナル・ローグ)らと共に、警察署に迫るゾンビから逃れるための戦いを強いられることに。一方、クリスとジルもスペンサー邸で研究員姿のゾンビたちの襲撃を受ける。異なる場所で並行して事件に巻き込まれる様子が描かれる『~ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、まさに「バイオ1」と「バイオ2」の物語が同時進行する形となっているのだ。
原作ファンであるロバーツ監督ならではのネタが満載!
原作ゲームに忠実な2つの物語を同時に描くことによって、ゲームの人気キャラクターであるクリス、ジル、クレア、レオンの4人の共演が実現。まさに「バイオハザード」25周年を記念するにふさわしい作品となったと言えるだろう。また、映画の製作チームはよりこだわった映像を作り上げるべくゲーム版のスタッフに協力を要請。ゲーム本編で使用したスペンサー邸や警察署のCGデータを本作でも使用していたり、それが叶わなかった箇所については限りなく近いCGを作り上げていたりと、徹底的にゲームのイメージそのままの舞台が再現されている。
再現されたのはキャラクターたちの環境だけではない。ゲーム版で印象的だった様々なシーンのムービーも再現され、かつてプレイした人なら「このシーンは…!」と感じる部分も少なからず盛り込まれている。例えば、すでに予告編では「バイオハザード CODE:Veronica」に登場するアシュフォード・ツインズに関するフィルムが映されており、その後クレアにより再生された双子の映像は限りなくゲーム版に近い雰囲気となっている。そして、こちらも予告編で描かれたファンおなじみの「ITCHY TASTY(かゆい うま)」をはじめとした小ネタも多数登場。「バイオ1」、「バイオ2」をプレイしていない人も十分楽しめる作品ではあるが、プレイ済みの人にはまた別の楽しみ方がある作品に仕上がっている。
本作で「バイオハザード」シリーズに触れる人はもちろん、ゲームをプレイしてきた往年の「バイオハザード」ファンも満足できるよう、細部まで徹底してこだわった表現がなされた『~ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』。大の“バイオファン”だというロバーツ監督によって新たに描かれ、胸アツのシーンやネタが満載の本作で、さらに「バイオ」への愛を深めてみてはいかがだろうか。
文/石井誠