役所広司、24年ぶり!尾野真千子、鈴木亮平、三浦透子も受賞、キネマ旬報ベスト・テン5冠は『ドライブ・マイ・カー』
1924年度に第1回が行われ今年で95回目を迎える「キネマ旬報ベスト・テン」の授賞式が2日、東京・渋谷のオーチャードホールにて、昨年に引き続き無観客で開催。2021年の国内の映画界をにぎわせた作品の監督や出演者など関係者らが登壇し、国内外の映画賞を席巻している濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』(公開中)が日本映画作品賞(ベスト・テン第1位)など5つの賞に輝いた。
『ドライブ・マイ・カー』は日本映画作品賞のほか、日本映画監督賞と脚本賞、助演男優賞、読者選出日本映画監督賞を受賞。何度もトロフィーを受け取った濱口監督は終始謙虚な姿勢でスピーチを展開。作品賞を受賞した際には両手でトロフィーを持った状態で「いま両手がちぎれそうなほど賞の重みを感じています」と茶目っ気たっぷりに語ると、「この『ドライブ・マイ・カー』を観ることは西島秀俊さんを観つづける体験でもある。西島さんの力がとても大きいと思います」と、主演を務めた西島秀俊への敬意をのぞかせる。
また、大江崇允と共に受賞した脚本賞の際には「村上春樹さんからお預かりした物語を観客のもとに届ける責任があると思っていました。こういう賞をいただけて少しはそれが叶ったのかなという気持ちでおちます」と語り、原作者の村上春樹が作品を見たリアクションについて聞かれると「インタビューで地元の映画館でご覧になり、3時間惹き込まれた。役者さんたちの言葉が口にされてもおかしくない言葉になっていたとおっしゃっていました。それは役者さんたちの力かなと思います」と、西島や岡田将生、三浦透子や霧島れいからキャスト陣への深い感謝を述べた。
一方、西川美和監督の『すばらしき世界』(21)で主演男優賞を受賞した役所広司は、『Shall we ダンス?』(96)で受賞した第70回、『うなぎ』(97)と『ラヂオの時間』(97)、『失楽園』(97)の3作品で受賞した第71回以来、実に24年ぶりのキネマ旬報ベスト・テン受賞。「たくさんすばらしい役者さんたちがいるなかで、僕を選んでくれた方がにありがとうございますと言いたいです」とスピーチすると、「この『すばらしき世界』というタイトルが自分たちのつくる映画をしっかりやれと後押ししてくれている気がしました。たくさんの仲間たちがこのすばらしい賞に導いてくれたと思っています」と、会場に駆けつけた西川監督やスタッフ陣に感謝を伝える。
『茜色に焼かれる』(21)と『ヤクザと家族 The Family』(21)の2作品で主演女優賞を受賞した尾野真千子は「(両作品に)出会えてよかったです。映画そのものもそうですけど、いろいろな人たちがいてくれてよかったと思っています。『茜色に焼かれる』では何年ぶりだろうというぐらい憑依しました。気持ちがグッと入って抜け出せないぐらいだったことを覚えています。久しぶりにそんな感情を味わえて、気持ちよかったです」と満面の笑み。また、同作で親子役を演じた和田庵が新人男優賞を受賞したことに「本当に母親になったように喜びました」と感無量の様子。
そして助演男優賞は『孤狼の血 LEVEL2』(21)と『燃えよ剣』(21)、『土竜の唄 FINAL』(21)の3作品で鈴木亮平が受賞。「やっと俳優という肩書きで自信を持って映画に出ていいんだぞと許可をもらえたような気がしています」と謙虚にコメント。
『ドライブ・マイ・カー』と『スパゲティコード・ラブ』(21)の2作品で助演女優賞を受賞した三浦透子は、「この2つの作品の役はいままで演じさせていただいてきた役のなかでもすごく自分らしい、自然に演じられる役でした。そういう役で自分のことをたくさんの方に知ってもらえてとても恵まれていたなと思っています」と語り、『ドライブ・マイ・カー』の役を演じるために運転免許証を取得したという意外なエピソードを明かしていた。