『ちょっと思い出しただけ』で3度目のタッグ!松居大悟とクリープハイプが築き上げた10年来の関係性
楽曲から産声を上げた『ちょっと思い出しただけ』
2016年を最後に長らくタッグを組んでいなかった松居とクリープハイプが、三度手を取り合った『ちょっと思い出しただけ』。本作は、ジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)にインスパイアされたクリープハイプの楽曲「ナイトオンザプラネット」を基にしたラブストーリーだ。
ケガでダンサーの道を諦めた照生(池松)とタクシー運転手として働く葉(伊藤)。男と女の“終わりから始まり”の6年間を、別れたあとの日常から、別れの瞬間、付き合っているさなかの幸せな時間、そして出会い…と1年ずつ同じ日をさかのぼりながら綴っていく。
2020年4月頃に「松居くんと作りたいものができた」という言葉と共に尾崎から送られてきた曲を聴いた松居監督の「MVや短編ではなく長編として作り上げたい」との想いからスタートした本企画。尾崎は主題歌と音楽を担当しただけでなく、ミュージシャンの男役として出演し、2人の思い出のなか、随所で存在感を発揮している。
出演オファーを受けた際、尾崎は「こんなにすばらしい台本なのに自分が出ることで嘘の世界を作りたくないから、クリープハイプとしては出演できない」と一度は断ったとか。しかし「ジャームッシュ映画に時々登場するトム・ウェイツ的な感じで出るのはどう?」と打診され、「じゃあひげ生やしていい?」と条件付きで出演が決定したのだそう。
フィールドは違えど、共に切磋琢磨し、影響を与え合ってきた松居大悟監督とクリープハイプ。知り合って約10年のタイミングで手掛けた本作は、彼らの一つの到達点と言えるに違いない。
文/サンクレイオ翼
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