梶裕貴、『グッバイ、ドン・グリーズ!』花江夏樹の芝居に「涙腺を刺激された」
「宇宙よりも遠い場所」を手掛けたいしづかあつこ監督がアニメスタジオMADHOUSEと再タッグを組んだオリジナル劇場アニメーション『グッバイ、ドン・グリーズ!』の公開御礼舞台挨拶が2月26日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、花江夏樹、梶裕貴が登壇。少年時代の葛藤や、アフレコの思い出を明かした。
東京から少し離れた田舎町に暮らす少年ロウマ(花江)と、高校進学を機に上京したトト(梶)、そしてある事情から田舎町にやってきたドロップ(村瀬歩)の3人が繰り広げるひと夏の冒険を描く本作。
クライマックスの場面の収録では、「花江くんの声に涙腺を刺激された」と告白した梶。「一緒に録らないと、あのようには引き出されないんだなと感じたシーンです。この作品はコミカルな部分や日常会話も多いんですが、同時にドラマチックなものも共存している。それがいしづか監督らしいと感じる。あそこのお芝居は花江くんとやっていたからこそ生まれたもの」と語ると、花江は「すごいシーンでしたよね。涙、涙のシーン。村瀬さんも後ろで見ていた。泣いてましたよね」とそのシーンには登場しないドロップ役の村瀬も収録を見学していたという。梶は「(村瀬は)収録中に泣いていた。『コイツ、泣いているな』と感じながら、背中を押してもらえるような時間だった」と収録現場にも感動的なムードが流れていたという。
リピート鑑賞する人も増えているようで、梶は「トトが持ってきたおにぎりがなくなる、という場面がある。でも実は、トトが落としたおにぎりが見えている瞬間があるんです。一瞬、三角形のシルエットがふわっと映る瞬間がある」とリピート鑑賞の際の鑑賞ポイントをアピール。花江は「よく見ると、いろいろと書いてある」と劇中に登場する新聞に注目してほしいと話す。
また少年たちの葛藤が描かれる映画にちなみ、「葛藤した思い出」を聞かれるひと幕も。梶は「小学生時代にサッカーの少年チームに所属していて。それに加えて、習い事としてエレクトーンや英会話もやらせてもらっていた。自分でやりたいと言って始めたものの、学校が終わると友達と遊びたい。『塾があるから、練習があるからごめんね、バイバイ』と言う時の葛藤があった」と振り返った。すると花江は「小学校から塾に行っていたんですね。梶さんが同級生だったら、かっけぇなって思う。それで『See you』とか言ってきたら、すげえ!英語習っている!って思う」と続け、これには梶も「言わないよ!」と爆笑。決めポーズを繰りだしながら「さすがに学校から帰る時に『See you!』なんて言わない!」とお茶目な笑顔を見せていた。
一方の花江は「勉強しながら、これはなんの役に立つんだろうって思っていた時期がある」と述懐。「算数は掛け算くらいできておけばいいだろうとか、一時期モチベーションが上がらない時があった。でもいま考えてみると、大人になってに役に立たないこともあるけど、大事だったんだなと思う。世界史や日本史など、いまになって“知りたい欲”が増えてきた。英語もそう。僕も、小学生のころに『See you!』って言っておけばよかったな」と再び「See you!」を持ちだして、梶をいじっていた。
その梶は「会場に小学生や中学生っている?」と語りかけ、花江も「絶対、英語をやったほうがいいよ。でも本当にやりたいことがあるのならば、それでいい」とメッセージ。「この作品を観ると、『大人にちゃんと相談しなきゃ』という気持ちにもなる。僕も中学生のころは、親に打ち明けられない悩みとかもあった。でも打ち明けてみると、なんてことなかったんだろうなと思う。いろいろと思い出しました」と花江自身も本作に触れることで少年時代を振り返ったことを明かしていた。
取材・文/成田おり枝