いしづかあつこ監督が明かす、『グッバイ、ドン・グリーズ!』に滲みでた“目線”のこだわり|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
いしづかあつこ監督が明かす、『グッバイ、ドン・グリーズ!』に滲みでた“目線”のこだわり

インタビュー

いしづかあつこ監督が明かす、『グッバイ、ドン・グリーズ!』に滲みでた“目線”のこだわり

アニメーションに期待されがちな奇抜な設定やガジェットは登場せず、視聴者と同じいまを生きている女子高生たちが夢を現実にしていく姿を丁寧に描き話題となったテレビアニメ「宇宙よりも遠い場所」(以下「よりもい」)。国内だけでなく、米ニューヨーク・タイムズ紙の「ベストTV2018 インターナショナル部門」にも選ばれ話題になった同作品のチームが贈る最新作、それがオリジナル劇場作品『グッバイ、ドン・グリーズ!』(公開中)だ。いしづかあつこ監督にとって初のオリジナル劇場作品となる本作。シナリオを自ら手掛けたことでこれまでの作品以上に滲みでているこだわりについて、率直に質問をぶつけた。

「男の子は外へのプライドに目覚めることで成長する」

まず聞きたかったのは、話題となった「よりもい」とは違い、主人公を男子高校生にした理由だ。プロデューサーからのオーダーは、ジャンルとしての「青春もの」と「主人公の年齢感」程度で細部への注文はなかった。故に、主人公たちの性別は作品のテーマ性から導かれたものだったという。

【写真を見る】初オリジナル劇場作品となったいしづかあつこ監督、「よりもい」との違いとは?
【写真を見る】初オリジナル劇場作品となったいしづかあつこ監督、「よりもい」との違いとは?撮影/新妻和久

「ひょっとしたら記号的すぎる見方かもしれないですけど、アニメのキャラクターはどうしても記号が強調されるので、女の子を描く時は『よりもい』みたいに内側の感情を掘り下げて、心理的距離感の近さ、共鳴性の高さみたいなもので友情を描いていくほうがキャラクターの魅力が増す気がするんです。ただ今回やりたかったのは外へ視線を向けていく物語なので、だったら逆に男の子がいいんじゃないかと。なので、この企画は『次は男の子で』から始まっています。思い込みだったら失礼ですけど、特にこの年頃の少年の場合は『この世界、この社会に対して俺はどうあるべきか。自分はどういう存在か』、そういう外へのプライドに目覚めるような印象があって。なので彼らはおそらく自分が住む世界対自分という捉え方をしてくれるんじゃないかと思ったんです」。

無実の証拠を求めて空の彼方へ消えていったドローンを探しにいくことから冒険が始まる
無実の証拠を求めて空の彼方へ消えていったドローンを探しにいくことから冒険が始まる[c]Goodbye,DonGlees Partners


また、今作の主人公たちは、希望にあふれた夢を追い、積極的に冒険へ乗りだしていくというありがちな形にはない。「『よりもい』の時にもすごく迷ったところなんですが、現代のティーンエイジャーにとって目指したい目標、夢となるものが漠然としすぎて、記号として置けないんです。価値観も多様化しているし、みんながやりたいこともバラバラ。具体的になにかを求めるとしても、一つに決められない。だったらいっそのこと、自分たちの欠点を徐々に埋めながら最終的になぜか宝物を手に入れることになるっていう展開のほうが共感は得やすいし、応援したくなるはず。これはもしかしたら時代性かもしれないですね」。


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