「自分の声が好きじゃない」…花江夏樹&川上洋平が語り合う、お互いから受けた刺激
「宇宙よりも遠い場所」を手掛けたいしづかあつこ監督がアニメスタジオMADHOUSEと再タッグを組んだオリジナル劇場アニメーション『グッバイ、ドン・グリーズ!』が公開中だ。ロウマ&トト&ドロップという3人の少年たちが、ひと夏の冒険を通してかけがえのない時間を過ごし、自らを見つめていく姿を描く本作。MOVIE WALKER PRESSではロウマ役を演じた花江夏樹と、3人の冒険を彩る主題歌「Rock The World」を担当した[Alexandros]の川上洋平にインタビューを敢行。「自分の声が好きじゃない」と告白した彼らが、本作から受け取ったものや、もがいた経験、そして未来へ突き進む力について語り合った。
「洋平さんの歌声は、力強さと優しさが同居している」(花江)
――ロウマ&トト&ドロップによるチーム“ドン・グリーズ”の冒険を、主題歌「Rock The World」がさらに盛り上げています。主題歌を聴いた時の感想を教えてください。
花江「さわやかな疾走感があって、曲の入りから『グッバイ、ドン・グリーズ!』の世界観がバッチリと頭に入ってくるような楽曲だなと思いました。完成した映画を観た時も、いつ『Rock The World』が流れてくるんだろうと楽しみにしていたら、一番いいところで曲が流れてきて。そこに行き着くまでにウルッときたり、泣きそうになるシーンがいろいろとあるんですが、『Rock The World』がかかり始めてエンドロールが流れてきた瞬間、僕はものすごく込み上げてくるものがありました。“音楽の力”ってすごいなと、改めて感じています」
川上「ありがとうございます!うれしいです」
――川上さんは、いしづか監督とディスカッションをしながら曲作りを進めていったとのこと。楽曲制作の過程では、映像や声優さんのお芝居から刺激を受けることはありましたか?
川上「もちろん、たくさんありました。楽曲を作るうえでは、まだ全員分の声が入っていない段階での映像も観ていましたし、アニメーションの制作過程も楽しみながら参加させていただきました。それはもうアニメファンからしたらたまらない、貴重な経験でしたね。皆さんの声がすべて入った状態で映像を観た時に、作る曲のイメージが変わったこともありました。花江さんから“音楽の力”という話がありましたが、そのなかで僕は“声の力”をものすごく感じて。“ドン・グリーズ”3人の声が入った時に、『僕らが作らなければいけないのは、3人のテーマソングなんじゃないか。彼らをバックアップできるような曲を作らなければいけない』と思ったんです。時間をかけて作ってきたものの8割くらいを書き直して、新しく生まれたのが『Rock The World』です」
花江「そうなんですか!“ドン・グリーズ”たちにも、映画にもものすごくぴったりな曲でした。あと素人目線ではありますが、洋平さんが歌いあげることによって、“ドン・グリーズ”のテーマソングでもあるけれど、映画を観ている自分たちも背中を押してもらえるような気がしてくるんです。優しさと力強さが同居しているような歌声だと感じています」
川上「僕は“ドン・グリーズ”を演じるお三方のお芝居によって、声優さんって本当にすごいなと思いました。曲の方向性を180度変えるくらいの力がある。ロウマを演じている花江さんのお芝居も、なんだか声が踊っているなという感じがして。この作品において、声優さんたちのお芝居は太陽のようなものになっているなと思いました。僕は自分の声が好きじゃないんです。だからこそ、声が魅力的な人ってすごくすてきだなと憧れます」
花江「ええ!そうなんですか。でも僕も自分の声って、そんなに好きじゃないです。もっと低い声の人に憧れたりもしますし、なかなかクセのある声を出すのが苦手だなと思うこともあって。『グッバイ、ドン・グリーズ!』のような作品には合うのかもしれませんが、“ザ・アニメ!”というタイプの声ではないので、『あの人の声、いいなあ』と感じることもよくあります」
川上「声が好きじゃないだなんて!それは意外です」