ロバート・パティンソンが明かす『ザ・バットマン』制作秘話。「100回観た」バットマン映画とは?
「この役をもらった日は、ちょうどクリストファー・ノーランの『TENET テネット』の撮影が始まった日でした。スクリーンテストをするために、僕は『TENET テネット』の現場を一日休まなければならなかった。でもそれは極秘事項だったので、誰にもそのことは言わなかった。そして次の日に現場に戻ってきたら、クリスは僕にこう言ったんです。『バットマンのスクリーンテストはどうだった?』と(笑)」。
まさにノーラン監督が手掛けた「ダークナイト3部作」以来となるDCコミックスを代表する人気ヒーロー「バットマン」の単独映画であり、『ワンダーウーマン』(17)や『アクアマン』(18)などヒットを連発するDCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)には含まれない独立した作品となった『THE BATMAN―ザ・バットマン―』(公開中)。本作でブルース・ウェイン/バットマン役を演じたロバート・パティンソンは、多くの監督が挑み、そして多くの俳優たちが演じてきた「バットマン」映画とのめぐり合わせを回想する。
「実は、ヒーロー映画に出演することには興味がありませんでした」
犯罪がはびこるゴッサム・シティ。ブルース・ウェインが両親を殺されたことへの復讐を誓い、バットマンとして悪と対峙するようになってから2年目のある日のこと。権力者を標的とした連続殺人事件が発生。その犯人を名乗るリドラーは、犯行の際に“なぞなぞ”を残し、警察や世界一の名探偵でもあるブルースを挑発。そして社会や人間が隠してきた嘘を暴き、世界を恐怖に陥れるリドラーが、次なるターゲットに選んだのはバットマンだった。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)で注目を集め、「トワイライト」シリーズで世界的スターの仲間入りを果たしたパティンソン。その後デヴィッド・クローネンバーグ監督をはじめ、ジェームズ・グレイ監督やクレール・ドゥニ監督といった名匠たちの作品に立て続けに出演してきた彼は「いままでスーパーヒーロー映画に出演することには興味がなかった」と告白する。
それでも「バットマンは非常に特別な存在で、ほかのヒーローとは違う存在に思えていました。このキャラクターは非常に個人主義的で、象徴的な意義を多く持ち合わせている。それにマット(・リーヴス)が監督すると聞いてとてもワクワクしました。超初期の絵コンテの段階から既存の作品とは違うトーンを持ち合わせていたし、ブルースのキャラクター描写もとても興味深い解釈がされていたからです」と、積極的にこの役柄を引き受けたことを振り返る。
「マットはいままでの『バットマン』シリーズから逸れることを恐れておらず、堂々と大胆なスタイルを選択していました」と、これまで「猿の惑星」シリーズをはじめ、既存のストーリーやジャンルにとらわれず、次々と独自の視点で再構築を繰り返してきたリーヴス監督の手腕に敬意を表明した。