ロバート・パティンソンが明かす『ザ・バットマン』制作秘話。「100回観た」バットマン映画とは?
「『バットマン・リターンズ』は100回くらい観たと思います」
「同じ『バットマン』映画の監督でも、マットとクリスは正反対のタイプです」とパティンソンは、リーヴス監督とノーラン監督の演出に感じた違いを語ってくれた。「クリスはものすごく巨大で複雑なアクションを簡単にこなしてしまう能力があって、ヘリコプターをいっぱい飛ばして、爆発させて、エキストラがみんな逆向きに走ってもすぐにOKを出して『いいね、ナイスだ。次行こう』という感じ。対してマットは多くのテイクを重ねるし、とても忍耐強い人。まるでオーケストラの指揮者のように頭のなかで広い視点から物語全体を見ることができるんです」。
「でも、どちらの現場もこのうえなく楽しいんです」と顔を綻ばせると、「それぞれがまるで違う『バットマン』だけど、両方とも最高に楽しいんです。これまで十何本も『バットマン』映画は作られてきたけれど、最初のショットから、ほかの『バットマン』映画とはまったく違うと感じることでしょう」と自身が演じた“2年目のバットマン”に自信をのぞかせていた。
そんなパティンソンは最後に「バットマン」の原体験を振り返る。「初めて観たのは『バットマン リターンズ』で、家には『バットマン』と『リターンズ』のVHSがあったのを覚えています。子ども時代には8本しかVHSを持っていなかったから、『リターンズ』だけでも100回くらい観たと思います(笑い)。それに当時はすべてのセリフを覚えていたぐらいです」と、すでに幼少期からバットマンになる運命が始まっていたことを感じさせる。
「長いこと続いて、成功してきたシリーズにはなにか素敵なものがあると思います。それぞれの役者が、その作品にすべてを注いできたからでしょう。だから誰もが常にバットマンを愛していて、それぞれのバットマンにファンがいる。みんな『お気に入りのバットマンは誰?』と、まるでお気に入りのジェームズ・ボンドを聞くのと同じように聞くのです。それぞれの役者が独自のものを持ち込んできましたが、僕が今回のバットマンにどんなものを持ち込んでいるかは、映画を観てのお楽しみです」。
構成・文/久保田 和馬