樋口真嗣監督が新バットモービルに興奮!「破綻のない『マッドマックス』のマシンのような内燃機関という名の暴力の結晶」 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
樋口真嗣監督が新バットモービルに興奮!「破綻のない『マッドマックス』のマシンのような内燃機関という名の暴力の結晶」

インタビュー

樋口真嗣監督が新バットモービルに興奮!「破綻のない『マッドマックス』のマシンのような内燃機関という名の暴力の結晶」

「モーションキャプチャ用のタイツを着ていたアンディが、仕立てのいいスーツを身にまとってのアルフレッド役」

ブルースに合わせて、執事のアルフレッドのイメージも大きく変わった。軍人上がりでブルースの師である一方、バットマンとはやや距離のある役どころ。どこか影を引きずるアルフレッドを演じているのが英国の名バイプレイヤー、アンディ・サーキスだ。このキャスティングに「とにかくビックリした」と樋口監督。

「(『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』の)ゴラムやキングコング、ゴジラに『猿の惑星』のシーザーや『スター・ウォーズ』の銀河帝国の最高指導者スノークの“中の人”じゃないですか!モーションキャプチャ用のグレーのタイツを着ていたアンディが、仕立てのいいスーツを身にまとってのアルフレッド役。表現者としてもすばらしかった」。

ブルースを父親のように支える執事のアルフレッド
ブルースを父親のように支える執事のアルフレッド[c] 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & [c] DC

サーキスのほかにも、コリン・ファレルが別人のような特殊メイクに身を包んでペンギンを、「トランスフォーマー」シリーズなどで知られるジョン・タトゥーロがゴッサムを仕切る冷徹な顔役ファルコーネを、ゾーイ・クラヴィッツがバットマンと共闘するキャットウーマンを演じるなど、脇を固めるメンバーにも豪華な顔ぶれがそろっている。

ゴッサムの裏社会の大物で、鳥のような風貌と体格から“ペンギン”と呼ばれるオズワルド・“オズ”・コブルポット
ゴッサムの裏社会の大物で、鳥のような風貌と体格から“ペンギン”と呼ばれるオズワルド・“オズ”・コブルポット[c] 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & [c] DC

「活躍を含めて歴代バットモービルのベスト!」

バットスーツと並んでバットマンを象徴する存在がビークル。今作もバットモービルやバイクが愛車として登場し、アクションの見せ場を盛り上げた。樋口監督を虜にしたのがペンギンの車とバットモービルの激しいチェイスで、「永遠に続いてほしい」と思えるくらいハマったという。「(『ダークナイト トリロジー』の)タンブラーを越えるためリアリティに落とし込んだのかも」と樋口監督が指摘したとおり、今作のバットモービルは変形や分離など派手なギミックはいっさいない。

「リブートのたびにカスタムが進み、もはや自動車でなくなったところでの回帰。しかも70年代のムスタングやカマロのようなスパルタンなシルエットじゃないですか!リアシャーシをぶった斬って、なおはみ出た巨大なエンジン。破綻のない『マッドマックス』のマシンのような内燃機関という名の暴力の結晶。活躍を含めて歴代バットモービルのベストです」と絶賛する。

【写真を見る】バットモービルでペンギンと繰り広げるカーチェイスは圧巻の大迫力!
【写真を見る】バットモービルでペンギンと繰り広げるカーチェイスは圧巻の大迫力![c] 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & [c] DC

「ノブレス・オブリージュを実践する貴族の嗜み、品格がバットマンの“らしさ”」

特別なパワーを持たないバットマンの能力について、しばしば引き合いに出されるのが財力。しかし樋口監督は、バットマンは“ただの金持ち”ではないという。

「例えば、『アイアンマン』のトニー・スタークは戦争で財を成した科学者。でもウェイン家は名家じゃないですか。ブルースはそんな立場だからこその責任感、いわゆるノブレス・オブリージュ(社会的義務)を実践しているんです。そういう貴族の嗜み、品格がバットマンの“らしさ”です」。

ちなみに、DCの魅力については「傷ついてなお生きる者どもに対する、少しだけやさしい眼差し」を感じるところだという。


ストリートで育ったキャットウーマンことセリーナと協力関係を結ぶバットマン
ストリートで育ったキャットウーマンことセリーナと協力関係を結ぶバットマン[c] 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & [c] DC

ヒーローとしてはかけ出しの“2年目”のバットマンを描いた今作だが、樋口監督の2年生時代はどうだったのか?と聞くと、「無自覚で生意気なだけ」だったとか。

「下っぱの使いっ走りなのに、『自分だったらこう撮る』とか偉そうに酒飲んで先輩相手に講釈垂れてたクソガキでした。引っ捕まえて『諦めろ!お前も先輩たちと同じ穴にはまって抜け出せなくなるんだよ!』と小一時間説教をしたいですね(笑)」。

構成・文/神武団四郎

■樋口真嗣
1956年生まれ、東京都出身。『ゴジラ』(84)に造形助手として、映画界に入り、特技監督として「平成ガメラシリーズ」などに携わる。おもな監督作は『ローレライ』(05)、『日本沈没』(06)、「進撃の巨人ATTACK ON TITAN」シリーズ(15)、『シン・ゴジラ』(16)など。待機作は5月13日(金)公開の『シン・ウルトラマン』。


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