ソン・イェジン、“清純派女優”から信じて観られる“観客動員力1位女優”になるまで…次の挑戦は?
ソン・イェジンは誰よりも変化を怖がらない女優の一人で、長い間トップの地位を維持している。恋愛ものからアクション、スリラー、コメディに至る様々なジャンルの映画やドラマで活躍し、大鐘賞映画祭、青龍映画賞、百想芸術大賞など、多数の映画賞で主演女優賞を受賞してきた。
ソン・イェジンは『恋愛小説』(03)から『ザ・ネゴシエーション』(18)まで、計19本の映画で主演を務めたが、興行収入で失敗した作品は『四月の雪』(05)と『白夜行 白い闇の中を歩く』(09)、『悪いやつは必ず死ぬ』(15)、『荊棘の秘密』(15)の4本だけ。ソン・イェジンの作品に対して先見性を持っていることは、関係者の間では誰でも知っている有名な話である。
ソン・イェジンが最初から演技派女優として認められていたわけではない。2001年、ドラマ「おいしいプロポーズ」で初主演を務めたソン・イェジンは「夏の香り」や『恋愛小説』『ラブストーリー』(03)、『私の頭の中の消しゴム』(04)を通じて清純派女優として大ブレイクし、いわゆる"初恋のイメージ"を固守しながら男性ファンからの爆発的な支持を得た。
しかし『ナンパの定石』(05)を筆頭に、『妻が結婚した』(08)、『ファム・ファタール』(08)など、今までとは全く違う雰囲気の作品に挑戦し始めた。ソン・イェジンは劇中ナンパ師になり男を誘惑したり、不倫をしたり、高難度アクション演技まで完璧に消化しながら、ただ可愛いだけでなく、"信じて観られる女優"の列に加わった。
ソン・イェジンが興行面での成功を保障する女優として位置付けられたのは、韓国で866万観客を動員した『パイレーツ』(14)から。以降『ラスト・プリンセス −大韓帝国最後の皇女−』(16)、『Be With You ~いま、会いにゆきます』(18)、『ザ・ネゴシエーション』など、ソン・イェジンが主演を務めた作品が全て韓国映画ボックスオフィスで1位となり、2018年には"観客動員力1位の女優"というタイトルを握った。
映画だけではない。割と経歴が長いベテラン俳優たちが陣地をしく映画業界とは違って、テレビドラマでは主に10~20代の若手俳優たちが競争する。映画の観客動員力を持つ俳優がテレビドラマに出演すると話題性はあるが、だからと言ってドラマも必ず話題になり好評されるとは限らない。またドラマの場合、重い作品よりは軽い気持ちで観られるロマンティック・コメディの方が人気が出るため、必ず高いギャランティを払って演技派俳優をキャスティング必要もない。
ソン・イェジンはそういうテレビドラマの特徴と大衆のニーズをきちんと把握していた。「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」ではチョン・ヘインの年上彼女を、「愛の不時着」では天然な魅力を持つ財閥令嬢を演じて話題の中心に立った。
現在ソン・イェジンはアラフォー友達3人の友情と恋を描く「39歳」で、言うことなしの名演技を見せてくれている。実際今年40歳になったばかりのソン・イェジンは同作について、「39歳の女性たちの人生、悩み、生と死への思いなどをナチュラルに描く作品なので、すごく共感するところが多いです。いつもドラマと雰囲気が似ている曲をプレイリストに入れて聞きながら、39歳のチャ・ミジョという人物にシンクロしています。」と語る。
いつも一つの場所に留まらず挑戦し続け、女優の限界を超えてきたソン・イェジン。最近彼女は『ザ・ネゴシエーション』と「愛の不時着」で共演した俳優のヒョンビンとの結婚を発表した。また新しいスタートラインに立っているソン・イェジンが、結婚をきっかけにさらに多彩な演技を見せてくれることを期待している。
文/柳志潤