櫻井孝宏&ファイルーズあい、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』最狂の知能犯役が石田彰だと知り「楽しみでしかなかった!」
若き日のバットマンの苦悩を描くサスペンスアクション『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の大ヒット御礼舞台挨拶が3月19日に新宿ピカデリーで開催され、日本語吹替版声優の櫻井孝宏(ブルース・ウェイン/バットマン役)、ファイルーズあい(セリーナ・カイル/キャットウーマン役)、石田彰(リドラー役)が登壇。最狂の知能犯リドラー役に抜てきとなった石田だが、櫻井とファイルーズが大いに納得したことを告白し、「楽しみでしかなかった」と語った。
本作はクリストファー・ノーラン監督が手掛けた「ダークナイト3部作」以来となるバットマンの単独映画。ロバート・パティンソンが若き日のブルース・ウェイン、バットマン役を演じている。
全世界の興行収入が600億円を突破する大ヒットを記録しており、櫻井は「衝撃的であり刺激的で、新しいものを観たという感覚を得られるのが、評価につながっているのではないかと思います」と多くの人に受け入れられた理由を分析。「ヒーローの産声と言いますか、こういう経緯があってバットマンが出来あがっていくんだという瞬間が見られる。完成されたヒーローならば強くて、いつも勝っているというヒーロー像になるんですが、今回のバットマンはそうではない。まだまだ未熟で未完成な部分が見られるというのが、大きな見どころ」と語っていた。
猫耳をイメージした髪型で登場したファイルーズは、「メイクさんに『キャットウーマンみたいな猫耳にしてください』と言ったんですが、鏡を見たら色がジョーカーだったんです」とバットマンの宿敵であるジョーカーのような緑の髪色だったことに苦笑い。「もう一つ、ポイントがあるんです。靴にコウモリの羽がついているんです」とファッションをアピールし、「バットマンとヒロインのセリーナとの微妙な距離感、関係性もすてきです」と笑顔を見せた。石田は「現実とフィクションのリンクがきちんとしていて、うまく練られた脚本になっているのが世界的に受けている要因のひとつではないかと。皆さん、かき回されると思います」とミステリー要素についても舌を巻いていた。
これまでも『TENET テネット』(20)など数々の作品でロバート・パティンソンの吹替えを担当してきた櫻井だが、オファーを受けて「プレッシャーが大きかった」と告白した。人気キャラクターを演じるとあって「自分が関わらせてもらうとなった時に、どこから手を付けていいんだろうなと。ゼロからのスタートだったんですが、収録の時に声を入れたのが最後だった。皆さんの声が入った状態で収録に臨めた。地に足をつけて作品に向き合うことができた」と充実の表情を浮かべながらも、「反響のお話とかを聞くと、改めてとんでもない作品に関わらせてもらったんだなと思います」と大役を担った実感をかみ締めていた。
オーディションで役を獲得したファイルーズは、「形容できないくらいうれしかったと同時に、プレッシャーがものすごくあった」と役に決まった瞬間を述懐。「キャットウーマンは、これまでにいろいろな方が演じられてきたキャラクター。そのなかでゾーイ・クラヴィッツさんが演じていらっしゃるセリーナにどうやって寄り添っていこうかというアプローチが大変でした。
よかったなと思うのは、セリーナもまだ本作では未熟な状態。葛藤や怒りを抱えている状態だったので、そういった未熟な部分は声優歴の浅い自分とも重なるところもあった。未熟な私だからこそできたお芝居もあったんじゃないか」と語っていた。
最狂の知能犯・リドラーを演じた石田は、オファーを受けての参戦とのこと。石田は「おかしいというか、狂ったという言い方はあれだけれど…クレイジーなタイプなんです」と演じた役柄について説明。「そういう要素がうっすらと僕の後ろに見えたから、この役をもらえたのかなと思って。役をもらえたこと自体はうれしいんですが、『僕はこう見られていたのか』と思って」と続けると、櫻井は「否定はしないです」とツッコミ、これには石田も「ええ!?」とびっくり顔。
ファイルーズが「確かに『リドラー役はどなたかな?』と思って石田彰さんの名前を見た時に」と語り始め、櫻井とファイルーズで「ああ!」とぴったりと揃えて納得の声を上げたことを明かすと、会場からも大きな拍手が起こった。櫻井は「間違いないなと。楽しみでしかなかった」と石田のリドラーに大いに期待したそうだが、石田は「そうなんですか。自分のことは自分ではわからないものですね」とつぶやいていた。
取材・文/成田おり枝