【第94回アカデミー賞】「皆さん、獲りました!」濱口竜介監督がガッツポーズ!『ドライブ・マイ・カー』ついにオスカーを手中に
アメリカの現地時間3月27日(日本時間3月28日)に開催中の第94回アカデミー賞授賞式。全世界で高い評価を受け、本年度の映画賞を多数受賞してきた西島秀俊主演、濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』が、遂に第94回アカデミー賞で、国際長編映画賞を受賞。日本映画史上初となる作品賞と脚色賞のノミネートをはじめ、監督賞、国際長編映画賞と4部門の候補に挙がっていた本作が、遂にオスカーも手にした。
『ドライブ・マイ・カー』は、世界的にも人気が高い村上春樹による同名短編小説の映画化作品。西島秀俊演じる舞台俳優で演出家の家福悠介が、脚本家である妻の音(霧島れいか)を亡くした喪失感にさいなまれながらも、寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦透子)との交流を経て、様々なことに気づき、再生していく。
濱口監督は大興奮で「Thank you very much. Ohh..You are the Oscar.」と英語で喜びのスピーチを披露。「ヤヌスフィルムとサイドショウとワーナーメディア150とシネティック、この映画をアメリカに持ってきてくれてありがとう。ここにいる出演者の皆さんに感謝します。⻄島秀俊さん、岡田将生さん、霧島れいかさん、パク・ユリムさん、ジン・デヨンさん、アン・フィテさん、ソニア・ユアンさん、おめでとうございます!また、ここに来れなかった出演者の皆さんにも感謝します。特に赤いSAAB900を見事に運転してくれた三浦透子さんに感謝します!皆さん、獲りました!」とトロフィーを誇らしく握りしめた。
これまでに海外の映画祭での外国語映画賞部門では、他を寄せつけない最強ぶりを見せていた本作だが、受賞が堅いとされていた国際長編映画賞を見事に受賞した。同部門で日本映画が受賞するのは滝田洋二郎監督の『おくりびと』(08)以来13年ぶりの快挙となった。
『ドライブ・マイ・カー』は第74回カンヌ国際映画祭にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したことを皮切りに、ゴールデングローブ賞非英語映画賞、ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞作品賞・脚本賞・監督賞次点、ボストン映画批評家協会賞にて西島秀俊の最優秀男優賞を含む4冠、米批評家協会賞では作品賞とアジア初・主演男優賞を含む主要4部門での受賞など、賞レースを爆走してきた。
イギリスでは、ロンドン映画批評家協会賞で日本映画として初めて脚本賞を受賞、外国語映画賞では周防正行監督の『Shall we ダンス?』(96)以来のダブル受賞を果たした。また、英国アカデミー賞(BAFTA賞)でも、非英語映画賞を受賞。
国内でも、第45回日本アカデミー賞で、最優秀作品賞をはじめ、濱口竜介の監督賞に、西島秀俊の主演男優賞ほか、脚本賞、撮影賞、編集賞、照明賞、録音賞、最多8部門の最優秀賞に輝き、圧勝した。第34回日刊スポーツ映画大賞では作品賞と主演男優賞、第76回毎日映画コンクールで日本映画大賞(作品賞)と監督賞、第95回キネマ旬報ベスト・テンではキネマ旬報ベスト・テン第1位(日本映画作品賞)、読者選出日本映画監督賞、助演女優賞、日本映画脚本賞、日本映画監督賞と全5冠を獲得した。
本作は2021年に8月に公開されたが、オスカーのノミネート直後に拡大公開され、現在も各地でロングランヒット中だ。今回の受賞を経て、さらに興行も盛り上がっていきそうだ。
文/山崎伸子