【第94回アカデミー賞】ポール・トーマス・アンダーソン監督作『リコリス・ピザ』、脚本賞は受賞逃すも作品賞・監督賞に注目
アメリカの現地時間3月27日(日本時間3月28日)にロサンゼルスのドルビー・シアターで開催中の第94回アカデミー賞授賞式。脚本賞は、俳優で監督のケネス・ブラナーが自身の体験を基に製作、監督、脚本を手掛けた『ベルファスト』(公開中)が受賞し、ポール・トーマス・アンダーソン監督最新作『リコリス・ピザ』(7月1日公開)は受賞を逃した。
『リコリス・ピザ』では1970年代のハリウッド近郊、サンフェルナンド・バレーを舞台に、カメラマンアシスタントのアラナと高校生ゲイリーの恋模様を描き出す。主演は三姉妹バンド「HAIM」の三女であるアラナ・ハイムと、ポール・トーマス・アンダーソン監督の盟友フィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマンで、ともに本作で鮮烈な映画デビューを飾った。
残念ながら脚本賞の受賞はならなかったが、アンダーソン監督と言えば、トム・クルーズ主演『マグノリア』(99)でのベルリン国際映画祭金熊賞をはじめ、アダム・サンドラー主演『パンチドランク・ラブ』(02)でカンヌ、ホアキン・フェニックス主演『ザ・マスター』(12)でヴェネチア、ダニエル・デイ=ルイス主演『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)でベルリンと、世界三大映画祭すべてで監督賞を受賞してきた名監督だけに、最新作にも熱い注目が注がれている。
また『リコリス・ピザ』は、第75回英国アカデミー賞、第79回ゴールデン・グローブ賞、第5回アトランタ映画批評家協会賞、第34回シカゴ映画批評家協会賞などの前哨戦では脚本賞を多数受賞。このあと、作品賞や監督賞への期待がかかる。
文/山崎伸子
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