北米ランキングは『モービウス』が首位発進!アカデミー賞作品賞『コーダ あいのうた』が急遽再上映
ソニーズ・マーベル・ユニバース(SSU)の最新作『モービウス』(日本公開中)が初登場で1位を飾った先週末(4月1日から3日)の北米興収ランキング。公開延期が幾度も重なり当初の予定より1年半以上遅れただけでなく、同じSSU作品である『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(21)と公開順が入れ替わるなど、なかなか不運続きの同作は、興行面批評面でも苦戦を強いられているようだ。
“スパイダーマンの宿敵”として知られるマーベル・コミックの悪役モービウスを、『ダラス・バイヤーズクラブ』(13)でアカデミー賞に輝くジャレッド・レトが演じる同作。血液の難病を患う天才医師が、治療法を見つけだそうと自ら実験的な治療を施し、コウモリの血清を投与。それを機に超人的な力を手に入れた彼は、血への渇望という代償も手にしてしまう。
4268館で公開され、3日間の興行収入は3900万ドル。ちょうど半年前に公開された『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は、その時点でのコロナ禍におけるオープニング記録を樹立する4225館で9000万ドルというロケットスタートを切り、MCUに含まれる『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(デジタル配信中)は北米歴代2位の記録的なオープニング。その両者との比較はかなり酷なものとはいえ、事前に予測されていた数字をも下回る結果に。
それに加え批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合はわずか16%。比較的高い水準で推移するMCU作品とは対照的に、SSU作品は『ヴェノム』(18)が30%、『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が58%と批評的に厳しい結果が続いており、今後のフランチャイズ展開に向けての大きな課題となりそうだ。とはいえ観客からの好意的評価は70%とまずまず。あとはいかに興行を持続できるか注目しておきたいところ。
一方、この週末は第94回アカデミー賞の授賞式後の最初の週末。関連作にその効果が現れているかと思いきや、想像以上に祭りの後。主要部門を制した『ウエスト・サイド・ストーリー』(日本公開中)や『ドリームプラン』(日本公開中)、最多受賞作である『DUNE/デューン 砂の惑星』(21)に至るまで、授賞式直後の平日は1館あたりのアベレージはわずか1桁。週末には大きく上映館数を減らしており、この辺りに“配信時代”の波を強く感じることができる。
作品賞を含む3部門を制した『コーダ あいのうた』(日本公開中)は、対照的に初公開時が配信だったこともあってか500以上の劇場で再上映がスタート。Appleは正確な興収を発表していないものの、「Deadline」などの報道によれば週末3日間で35万ドル前後の興収を記録した見込み。また、Apple TV+は授賞式後に新規の登録者数が25%増加。配信開始から半年間で100万視聴にも満たなかった『コーダ』は、やはり前週から急激に視聴数が増加しているとのことだ。
文/久保田 和馬