窪塚洋介の長男・窪塚愛流、生きづらさを抱えた人々を描く出演最新作について「僕が過去に体験したものと重なる部分がある」
沖縄で4月16日、17日の2日間にわたって開催されている「島ぜんぶでおーきな祭 第14回沖縄国際映画祭」。宮嶋風花監督の処女作『親知らず』の上映会が那覇市の桜坂劇場ホールAで行われ、同時に宮嶋監督の最新作『愛のゆくえ』の制作発表も行われた。
『親知らず』は、少女・明日美が親知らずを抜いたことで、見えていなかった世界の存在に気づき、絶対的な親に向き合いながらも答えを出していくという物語。本作品は、次世代を担う映像作家の発掘と支援を目的とした「島ぜんぶでおーきな祭 沖縄国際映画祭 クリエイターズ・ファクトリー2018 U-25映像コンペティション」でグランプリを獲得した。
『親知らず』上映前に『愛のゆくえ』の制作発表として、宮嶋監督のほか、主人公の須藤愛役を演じた長澤樹と、伊藤宗介役を演じた窪塚洋介の長男である窪塚愛流がステージに登壇した。
制作発表で宮嶋監督は「親を亡くした孤独な少年少女が、生きるために"愛"を探し続けるという物語。北海道ロケで雪景色の真っ白な世界のなかで、2人が過去も現在もいろんな気持ちを超えて、なにを見つけていくのかというのが見どころです」と語った。宮嶋監督が26歳、主演の長澤が16歳、窪塚が18歳ということで、次世代の映画界を背負うであろう、若い力が集結した映画となっている。
また、フッテージ映像も特別に上映され、宮嶋監督、長澤、窪塚の3名は客席に座り観客と共に鑑賞。映像を観て長澤は「台本を頂いた時に、自分がイメージしていた作品の映像は、すごく美しくなるんだろうなと思っていたものの、予想を遥かに上回る映像でドキドキした」と感激の様子。窪塚は「撮影したのが(今年の)1月で、つい最近撮影したばかりというのがあったので、こうやって皆さんと一緒に大きいスクリーンで観られたことは素直にうれしい」と喜びを語ってくれた。
1月に北海道ロケが行われ、宮嶋監督は「記録的豪雪の中での撮影だったので大変だった」と語るも、「脚本は、自分のいままで経験したことをパズルのように組み合わせて作っているので、自分が22年間暮らしていた北海道で撮れたら本領を発揮できるのでは」と、慣れ親しんだ地元での制作理由を明かした。
2人を抜擢した理由について、宮嶋監督は「長澤さんは事前に写真で観た時、(雑誌に出るような)おしゃれな子のイメージだったのですが、実際に対面して『この子、愛ちゃんだ!』と思ったくらい、いい意味で素朴で目力があり、16歳なのに私より年上かと思えるくらい、なかなかいない子」と絶賛。
窪塚をキャスティングした理由については「SNSをフォローしていて、写真を見る限り尖っている印象があり、今回の役も反抗するタイプだったので。でも実際に会うと印象が全然違っていて、吸い込まれそうな目をしている。彼を抜擢してよかった」と、こちらも絶賛。監督からのコメントに2人は照れくさそうな表情を浮かべながらも、「うれしいです」と感謝しきりだった。
出演を決めた理由について、窪塚は作品内容を深くは言えないと前置きしつつ、「この作品に出てきている宗介は、僕が過去に実際に体験したものと重なる部分があり、僕自身はすごい嫌な思い出ではなかった。でも第三者から見たら、特殊な家系で育った(と思われている)ので、それがこの作品に活かされるんじゃないかなと思いつつ、作品の世界観にすごく引かれてぜひ出演してみたいと思った」と熱い想いを語った。
最後に宮嶋監督は「愛と宗介以外にも心の居場所をなくした人たちがいっぱい出てきます。コロナ禍もあるけど、なんでも効率重視の世の中になり、無駄なものはどんどん省いていこうと、生きづらい世の中になっていると自分は感じる。そのなかで外されてしまう人は存在するわけで、"普通じゃない"といわれる人がどんどん増えている。そういう人たちに観てもらって、どこかワンシーンでも、誰か1人でもいいので、なにかヒントを感じてもらえたら」とコメント。今回の制作発表の開催にあたって、「編集はまだあるけど、(今回の発表で)頑張ろうと思った」と意欲を見せ、舞台挨拶は幕を閉じた。『愛のゆくえ』は2023年公開予定となっている。
文/編集部
日程:4月16日(土)~17日(日)
場所:那覇市国際通り周辺、桜坂劇場、琉球新報ホール、那覇市民ギャラリー、よしもと沖縄花月、首里観音堂、イオンモール沖縄ライカムほか
URL:http://www.oimf.jp/