女優デビュー10年、本田翼が明かす“ラジハ”への想い。のびやかに”好き”を極めた「20代、満足です!」
「『この場所に自分がいていいのかな』と不安になることも」
杏は、本田のキャリアにおいて初めての医師役だった。オファーがあった時の心境を振り返ってもらうと、「とうとう来たか!って思いました(笑)」と目尻を下げた本田。
「医療もの、弁護士もの、刑事ものといった、ドラマの人気ジャンルがありますが、そのなかでとうとう来たか!と。医療ものは想像通りとても大変で、私にとっては新しい挑戦でした。まず医療の知識がまったくないので、病院を見学させていただいたり、放射線科の先生にお話を伺ったり準備をしました。日々、命と向き合って仕事をしている医療関係者の方々を間近で見て、感動しました。とても貴重な経験をさせていただいたと思いますし、演じるうえでも、ある種の責任感が必要となる役だと感じました」と身の引き締まる想いがしたという。
本シリーズで描かれるのは、病の原因を探り、レントゲンやCTで病変を写しだす放射線技師と、画像から病気を診断する放射線科医。患者とは直接対面する機会の少ない、裏方の存在だ。「知らないことがたくさんあった」という本田は、「放射線技師や放射線科医の方々がいなければ、病気を見つけることもできない。でも、あまりその存在が知られていないということをもどかしく感じました。“縁の下の力持ち”である放射線技師や放射線科医の方々のことを知ってほしいと思いました」と彼女自身、発見の多い作品になった。
2006年にファッション雑誌「Seventeen」のモデルとしてデビューした本田。2012年にドラマ「恋愛ニート 忘れた恋のはじめ方」で女優デビューを果たしてから、今年で10年が経った。女優としての活動を始めたころは、迷いや不安もあったと告白する。
「当時は、『この場所に自分がいていいのかな』と不安になることもありました。いろいろな作品に出演させていただけるようになって、5年くらい経ったころに、忙しさもあって『私はなにをしたかったんだろう』と自分のことをうまく考えることができなくなってしまったんです。ここで一度立ち止まってきちんと考えなければと思いました。そこで、人生初の一人旅に出てみたんです。その旅でいろいろなことを確かめられたような気がしています」と述懐。「少し自分の時間を持ってみて、『ああ、私はやってみたいと思ったことをやり続けて、こうやって生きてきたんだ』と初心に戻れた気がしています」と清々しい表情を見せる。
いま感じているのは、「作品を通して、幅広い世代の方にいろいろなことを伝えられること」だという本田にとって、縁の下の力持ちにスポットを当てた本シリーズへの参加は、大きな喜びだ。「『ラジエーションハウス』は初めての挑戦もたくさんあり、私にとって様々な壁がありました。スタッフさん、キャストさん、みんながいたから乗り越えられた。一人では絶対に乗り越えられませんでした」と周囲への感謝をあふれさせていた。