梶裕貴が振り返る「進撃の巨人」から『バブル』への10年。「“荒木組”は想像を超える表現が生まれる場所」

インタビュー

梶裕貴が振り返る「進撃の巨人」から『バブル』への10年。「“荒木組”は想像を超える表現が生まれる場所」

「進撃の巨人」の荒木哲郎監督のもとに、『君の名は。』(16)の川村元気プロデューサーをはじめとした日本アニメ界のトップクリエイターたちと豪華声優陣が集結したオリジナルアニメ『バブル』(Netflix版配信中、劇場公開中)。このたびMOVIE WALKER PRESSでは、本作に出演する“荒木組”常連声優たちのインタビュー連載を実施。最終回となる第3弾は、荒木監督の代表作である「進撃の巨人」でエレン・イェーガー役を演じてきた梶裕貴を直撃した。

荒木監督の代表作「進撃の巨人」のエレン・イェーガー役でも知られる梶
荒木監督の代表作「進撃の巨人」のエレン・イェーガー役でも知られる梶[c]2022「バブル」製作委員会

本作の舞台は世界に降り注いだ“泡(バブル)”によって重力が壊れ、ライフラインが断たれた東京。家族を失った若者たちはそれぞれチームを組み、ビルからビルへと駆け回るパルクールで競い合いながら生活物資を獲得していた。ある日、危険なプレイスタイルで注目を集めるヒビキは無軌道なプレイで海へと落下。そこに突如現れた不思議な力を持つ少女ウタに命を救われる。ヒビキや彼のチームメンバーと共に暮らし、徐々に心を通わせていくウタ。しかしそんな矢先、ふたたび降泡現象が始まり東京は沈没の危機にさらされることに。

『バブル』Netflix版は配信中、劇場版は劇場公開中
『バブル』Netflix版は配信中、劇場版は劇場公開中[c]2022「バブル」製作委員会

「僕の声優人生において非常に大きなターニングポイントである『進撃の巨人』から約10年。こうして参加させていただけることがとてもうれしく、また恩返しができたらいいなという想いもありました」と、本作に出演できたことの喜びを噛みしめる梶。そんな梶が演じるのは、主人公のヒビキが所属するパルクールのチーム“ブルーブレイズ”のリーダーであるカイ。卓越した運動神経の持ち主で、“ブルーブレイズ”を勝利に導く熱血漢。降泡現象で家族を失い、船長だった父の影響を受けて、自ら船の操縦を勉強、整備もするキャラクターだ。

主人公のヒビキが所属する“ブルーブレイズ”のリーダー、カイ
主人公のヒビキが所属する“ブルーブレイズ”のリーダー、カイ[c]2022「バブル」製作委員会

いまや名実ともに日本のアニメ界をリードするトップ声優へと成長を遂げ、様々な作品や監督のもとでキャリアを重ねてきた梶にとっても、荒木監督の現場は一味違う魅力があるという。「“こんな感情が出てくるなんて”とか、“こんな自分知らなかった”など、自分の想像していたものを超える表現が生まれる場所です。今回新しく受けた刺激で、僕自身ももっと成長できれば」と、本作にかける熱量の高さをアピール。

【写真を見る】「恩返しができたら」梶裕貴が明かす『バブル』への想い
【写真を見る】「恩返しができたら」梶裕貴が明かす『バブル』への想い[c]2022「バブル」製作委員会

「荒木さんは『芝居って楽しいな』と思わせてくれる監督。それはきっと、ちゃんと“人間”を描いてくれている作品だから。温和な雰囲気と共に、どこか狂気も持ち合わせている方だと感じています」と、同じ“荒木組”常連である畠中祐や宮野真守らと同様に荒木監督の魅力を語る。そして「自分にも似た部分があるからこそ、荒木監督の言葉は、深く聞かずともスッと理解できることが多い気がしています」と強い信頼関係を感じさせた。

チームを勝利に導く熱血漢!船の操縦の勉強をするなど努力家な一面も
チームを勝利に導く熱血漢!船の操縦の勉強をするなど努力家な一面も[c]2022「バブル」製作委員会

作画の完成しない状態で声優に演じさせ、その声にアニメーションを寄せていくというのも、声優の表現を信頼した“荒木組”ならではの制作方法。本作でもその方法は取り入れられたようで、梶は「完成したものを観て、痺れましたし鳥肌が立ちました」と、参加声優として以上に一人の視聴者として物語に魅了されたことを明かす。「アクティブでドラマチック。それでいて繊細でありロマンチック。まさに荒木監督らしさの詰まった作品だなと感じました」。

切ないドラマと激しいパルクール・アクションは必見!
切ないドラマと激しいパルクール・アクションは必見![c]2022「バブル」製作委員会


さらに「泡沫の恋ともいえる儚くせつないドラマを描きつつ、パルクールという激しいアクションと組み合わさることで、これまでの“荒木イズム”が凝縮されているようにも感じます」と太鼓判を捺す梶は、「この『バブル』を糧に、また新たなものを作っていきたいという強い意志を感じました」と振り返る。

常に進化を続ける荒木組で、梶が本作で出会った“新たな梶裕貴”と“荒木イズム”の集大成を、劇場のスクリーンで確かめてほしい。

文/久保田 和馬

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