長澤まさみ&早見あかり、『シン・ウルトラマン』カトクタイ女性コンビを直撃「みんなすごく仲良かった!」
「映画のなかでも外でも、みんな一緒に戦っていた感じでした」(長澤)
――映画を観ていると、カトクタイのチームワークのよさを感じました。現場もアットホームな雰囲気だったのでしょうか?
長澤「仲良かったです、本当に。だよね?(笑)」
早見「すごく仲良かった!カメラの外でも信頼関係を培ったことで、役のうえでのチームワークのよさが更にうまく出たんじゃないかな」
長澤「私は物語と同じで途中から合流したんですよ。もうその段階でみんな仲良くなってて、輪ができてる感じがありましたね。西島(秀俊)さんが率先してみんなをまとめてくれたんです。カトクタイはそれぞれ担当を持っているので、みんなが噛み合っていないと動きが取れないんです。そのチーム感みたいなものも作品の見どころですね。撮影は1日が本当に長かったので、時間をたくさん共有していた分、あかりちゃんに対しても、西島さんや有岡君、斎藤(工)さんに対しても、日々というより秒単位で信頼が増していくというか。映画のなかでも外でも、みんな一緒に戦っていた感じでした」
早見「チーム感がすごかったです。本当に。」
――実際にはいないウルトラマンやカイジュウに対するリアクションなど、合成カットも多かったと思いますが演じていてどうでしたか?
長澤「私たちは防護服を着てウルトラマンを見に行くシーンが多かったんですけど、お互いにセリフが聞こえなくて、合成じゃなくてもブルーバックで撮ってるのと同じ感覚だったよね」
早見「そうですね」
長澤「合成の多い特撮の難しさでもあるんだと思うんですけど、お芝居をしていくうえで一緒にいる俳優同士の息が合ってないといけない。でも、息を合わせるにしても相手の姿が見えなかったり声が聞こえないと、どうしても手探りになるというか。その状況をそれぞれが察知して動かなきゃいけないという意味では、なかなか特殊な現場だなと思いました」
早見「よく覚えているのがクランクインの日だったか、撮影が始まってすぐに、私と西島さんと有岡君のシーンで『ここら辺にこれ位のサイズのこういうのがいて、1、2、3で倒れます』、という説明を受けて臨んだ撮影があったんです。みんな自分たちのリズムで、1、2、3で視線を動かしていったんですけど3人で『大丈夫かな、正解どれかな』って。西島さんがあたふたしながら『OK出たから、たぶんOKなんじゃないでしょうか』って言っていたり(笑)」
長澤「確かにそんな感じだった」
早見「本当に手探りだったので、どんな画になるんだろうって思っていて。だから完成した映画を観た時は、『すごい!こういうことだったんだ』って答え合わせができた感じ」
長澤「想像力を駆使しないといけないから、大変だったよね」
早見「一人でやればいいだけじゃなく、みんな同じものを見てることが大事だから。そのためにすごいディスカッションしましたよね」
「樋口監督は、本当に可愛らしいチャーミングなおじさん(笑)」(早見)
――樋口監督とのお仕事はいかがでしたか?
長澤「私は『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』以来なので、10年以上ぶりなんですよ。でも相変わらずというか、不思議なところを含めなにも変わらないなって(笑)。樋口監督は自分のためというよりも誰かのために映画を作っているんだっていう想い、奉仕の気持ちをすごく持っているんだと思います。だから映画を作るうえで、すごく優しいんですよ。俳優やスタッフさんにも優しいし、観客に対しても優しいし、誰に対しても優しいんです。その一方で代表としてのすごさ、こだわりというのも節々に感じさせる。監督のそういった部分を信頼して、みんなついていくんだなと思いながら現場にいました」
早見「私は樋口監督の映画に参加するのは初めてなんですけど、プライベートで、共通の知人を交えた食事会でご一緒したことがあったり、自分がやっていた番組でインタビュー取材に伺ったり、関わりはあったんです。いつかは映画のお仕事でご一緒できたらなと思っていたので、こういう形で実現してすごくうれしいですね。食事をしている時も『ご飯大好き』みたいな本当に可愛らしいチャーミングなおじさんで、イメージそのままの方で(笑)。撮影中もすごくおおらかで、俳優のやりたいようにやらせてくれるし、ずっとニコニコしていました。スタッフさんみんながそうですが、本当にウルトラマンを愛している人たちで、それが伝わってくる現場でした」
「観終えたあと、席からすぐには動けなかった」(長澤)
――完成した映画をご覧になった感想や見どころを教えください。
長澤「衝撃的すぎて、観終えたあとに席からすぐには動けなかったですね。物語のスピード感だったり、ウルトラマンとカイジュウたちの戦いのすごさもそうで、起こっている物事に対してちょっと自分が追い付いて行けなくて。目の前で起こっていることに、ただただ呆然とした感じでした。物語構造としては難しくはないんですけど、細部にこだわった設定というのがたくさんあって、いろんなメッセージも込められています。庵野(秀明)さんや樋口監督がいままで培ってきたもののすべてが詰まっている感じがして1回だけでは受け止めきれない。『ウルトラマン』というひとつの作品に収まり切らないものを観てしまったという印象なんですよね。映画体験としてもものすごく大きいものになったし、映画館に何度も観に行きたいと思いました」
早見「私の語彙力が乏しく聞こえてしまうんですけど(笑)、とにかくすごかった!圧巻でした。自分のこの興奮とか感動とかを、どう言葉で伝えるのが正しいのかわからないくらい。だから子どもみたいな感想ですけど、『本当にすごかった』というのが一周まわって一番適切かもしれません。本当は難しい言葉で、ちょっとかっこよく言いたいんですけどね。樋口監督が『1つの作品にこれだけの時間を費やしたのは初めて』とおっしゃっていたんですけど、観ていてその想いがバンバン伝わってきます」
長澤「あと『エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』もそうだったけど、情報量がすごく多くて、いろんな要素がいっぺんに押し寄せてきた」
早見「とにかく情報量がすごくって(笑)。上映中はじーっと画面に見入っちゃうんですよ。一生懸命に観てるし聴いてるから、パワーをごっそり持っていかれました。それでも1回じゃまだつかみきれていない部分もある感じ。脚本で読んだことがある私ですら全部はつかみきれなかったので、たぶん観て下さる方々も1回ですべてを理解するのは難しいかもしれません。『シン・ウルトラマン』を楽しみにしてくださっているファンのなかには、何回も観に行くぞってやる気満々の方も多いと思いますけど、私も試写だけじゃ足りないから時間作って何度も劇場に行きたいなと思ってます」
取材・文/神武団四郎