「ウルトラマンのように生きたい」米津玄師が明かす、庵野秀明の"作品至上主義"への共鳴

インタビュー

「ウルトラマンのように生きたい」米津玄師が明かす、庵野秀明の"作品至上主義"への共鳴

「庵野さんの描く喪失感や寂しさに、自分とリンクする部分があった」

庵野作品のファンだったという米津。改めてすばらしいタッグが実現したように感じるが、米津自身、庵野の作品やものづくりの姿勢に共鳴する点が多々あると胸の内を明かす。

ウルトラマンになる男の神永新二を斎藤工が演じている
ウルトラマンになる男の神永新二を斎藤工が演じている[c]2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 [c]円谷プロ

「『エヴァンゲリオン』シリーズも大好きですが、庵野さんの監督された『式日』という映画があって。18、19歳ごろに初めて観たんですが、とても影響を受けました。喪失感や寂しさがむき出しになっている映画で、そのころの自分とすごくリンクする部分があったんです。また画としても印象的で、庵野さんの地元である山口県宇部の工業地帯の風景や、赤い傘の描写など、とてもイマジネーションに満ちていました」と2000年に公開された庵野監督の実写映画との出会いを述懐。

さらに「庵野さんの“作品至上主義”という言葉にとても共感します」と大きくうなずく。「最終的に守るべきものは作品であって、なにかに対するおもねりや甘えは過剰にあってはよろしくないというか。なるたけ私情を挟まずに、すべて生かすべきは作品であるという感覚は、とても共感します。庵野さんに見習わなければいけないなと思うことがまだまだたくさんあって、すごく尊敬しています」と表現者として大いに刺激を受けている。

クリエイターたちへのリスペクトがあふれる、禍威獣の造形にも注目!
クリエイターたちへのリスペクトがあふれる、禍威獣の造形にも注目![c]2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 [c]円谷プロ

2009年より“ハチ”名義でニコニコ動画へオリジナル曲を投稿し始め、2012年に本人名義でのアルバム「diorama」をリリース。2018年に発表した「Lemon」が日本レコード協会の史上最速300万ダウンロード認定、2020年に発売したアルバム「STRAY SHEEP」は200万セールスを突破するなど、トップアーティストへと駆け上がってきた米津。現在31歳となり、このタイミングで『シン・ウルトラマン』に携われたことは、30代への大きな力になると明言する。

「庵野さんも樋口監督も、自分がまだ音楽もやっていないようなころから、作品をつくり続けてきた巨大な存在。そういった方と一緒にものづくりをできるというのは、本当に光栄なことです。『自分がやってきたことは間違いではなかった』と伝えてくれる存在でもあって、これまでの自分の軌跡を肯定してくれたような気持ちになりました。自分は31歳で、彼らからすればまだまだですから(笑)。これから先の長い人生、まだなにかを作っていく道のりが続いていく。そんな自分にとって祝福のようなものを与えてくれたように思います」としみじみ。


樋口真嗣監督、庵野秀明に敬意を表した米津玄師
樋口真嗣監督、庵野秀明に敬意を表した米津玄師[c] REISSUE RECORDS

思えば、1995年にテレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」に着手したころの庵野が、30代だった。2021年に完結編となる『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開されたことを考えると、ものづくりの道のりとはなんと果てしないものなのかと痛感させられる。米津は「やっぱり庵野さんや樋口監督といった巨大な存在のいる場所には、生半可な気持ちでやっていたら絶対にたどり着けない。爆速で走っているベルトコンベアーの上を全速力で走り続ける感覚ですよね」と敬意を表し、「たくさんの刺激をもらいました」と、本作が未来へのエンジンになったことをうれしそうに語っていた。

取材・文/成田おり枝

■米津玄師 「M八七」 発売中
【収録曲】
1. M八七 (映画「シン・ウルトラマン」主題歌)
2. POP SONG (PlayStation CM曲)
3. ETA
【販売形態】
・「ウルトラ盤」(CD + レーザーカプセル + リフレクターケース) 2,200円(税込)
・「映像盤」(CD + DVD + シルバーデジパック) 1,980円(税込)
・「通常盤」(CD + 紙ジャケ) 1,210円(税込)
※詳細は特設サイトをご確認ください。
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