トム・クルーズ「すべてはファンのため!」『トップガン マーヴェリック』で3年9か月ぶりの来日に笑顔
主演作『トップガン マーヴェリック』(5月27日公開)を提げて、トム・クルーズがプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーとともに来日。23日に東京ミッドタウンでの来日記者会見に登場した。
出世作『トップガン』(86)から36年の時を経ての続編がついに日本でも公開間近。「映画はファンのみなさんのために作っています。『トップガン』は自分にとって特別なものだったからこそ、物語、役者、伝えたいことなどすべての要素が整うベストなタイミングで製作したいと思っていました」と、36年という時間が経ってしまった理由を明かした。ファンには「操縦席に座っているような感覚を味わって欲しかった。F18のコックピットにいる感覚を味わえる映画になっています」と胸を張り、「生きることを称えるような作品です。そして、最初の『トップガン』の時と同じような、“最高!”という感覚を味わっていただけるはずです」と最高の笑顔で呼びかけた。
続編は「限界を越えられるように、もっと楽しんでもらえるように」というクルーズの強い思いがあった。ブラッカイマーは「トムと仕事をするからには、リアルなものを作らなければいけない。トムは自分でも飛行機を操縦できるけれど、トム以外の俳優全員はトレーニングを受け、F18に乗れるようになる必要がありました」と説明。リアルな表現で、説得力のあるシーンが出来上がったとし、クルーズの映画作りへの並々ならぬ情熱と準備を称賛した。クルーズはこれまで出会った最高の監督やキャストとの仕事を通して吸収してきた知識のすべてを本作に注ぎ込んだとし、「最高の映画が出来上がった」と終始ご機嫌だった。
若くして、ジェリー・ブラッカイマーという最高のプロデューサーに出会い、多くのことを学べたことは自身にとってとても大きな出来事だったと振り返ったクルーズ。「興行収入はもちろん、先端で最高の作品を作り続けているすばらしいプロデューサーです。ジェリーの映画に対する情熱は衰えることなく、さらにアツくなっているように感じます。(36年という)時間の経過を感じさせない体験となりました。大変なチャレンジの多い映画だったけれど、とにかく楽しかった」と興奮気味に語っていた。
本作ではグリーンバックを使わず、実際に戦闘機を飛ばして撮影している。クルーズは「このアイデアにジェリーが賛同してくれたこともうれしかった」とニッコリ。さらに「(カメラの)レンズを通して、なにを伝えることができるのか。カメラの配置場所から、広角、望遠などのレンズの種類、そしてパイロットのどのような感情を伝えたいのかを常に考えていました」と撮影のこだわりを明かし、空を飛びながらの撮影を実現するために、役者、スタジオ、撮影スタッフすべてに学んでもらうことも多かったと振り返った。
クルーズは自身も空撮についてさらに学んだそうで、レンズが空撮に向いていないと分かると、新たな技術も開発したとし、隅々までこだわり抜いた映画作りだったようだ。「続編を作るために、普段飛行機を飛ばす時に空撮の練習をすることもありました」と、続編への思いはずっと心にあったと明かしていた。さらに「映画には僕の飛行機、P-51も出ています」と笑顔で伝えていた。
本作に限らず、映画作りは撮影、再撮影の繰り返しだと説明したクルーズ。「正しいストーリーを見出すために、撮影しては確認し、必要であれば再撮影を延々と繰り返します」と熱弁。ブラッカイマーに対しては「問題を解決するのがプロデューサーの仕事。『トップガン』ではやったことのないことをやらなければいけないので、本当に大変だったと思います」と労い、感謝の言葉を伝えていた。
ブラッカイマーは「一時は同時に地上と上空あわせて22台のカメラが回っていることもありました」と振り返り、「『トップガン』のためにソニーが開発したカメラを使っています。でも、このこだわりは映画全体から見れば、ほんの一部の話。さまざまなプロセスが詰まった作品で、こだわりの技術にこだわりのストーリーも加わります。何か月もかけて、ストーリー、キャラクターを作り上げていきました。トムの経験と知識があるからこそ、最高の映画ができるんです!」と大絶賛し、拍手を贈っていた。
人が大好きで、学ぶことに関心があり、好奇心旺盛なことが自身のモチベーションであること語ったクルーズは、伝えたい物語をスクリーンに投影することができる立場であることに感謝し、「僕もジェリーもとにかく自分たちの仕事が大好き。常によりよくしたいという気持ちがあります。サイコーにしないと気が済まないんです!」と、このタッグの仕事への姿勢についても説明していた。
取材・文/タナカシノブ