『ドクター・ストレンジMoM』が北米V3達成!「ダウントン・アビー」劇場版第2作とA24新作ホラーがランクイン
先週末(5月20日から22日)の北米興収ランキングは、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(日本公開中)が3週連続で1位を獲得。北米での累計興収は週末段階で3億4200万ドルを突破しており、現時点で2022年公開作のトップに君臨する『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(公開中)の3億6900万ドルまであとわずかまで迫ってきた。
前回の当記事でも注目すべき点として挙げた、2週目末から3週目末にかけての興収の推移は47.7%減とやや大きめのドロップ。それでも週末3日間の興収は3230万ドルで、3週目末の成績としては歴代42位とまずまずの数字。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品の歴代累計興収では、前週末の時点では17位だったが一気に12位までジャンプアップを達成。現在11位の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.2』(17)、同10位の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(19)まではあと4000万ドルほど。これらを超えればMCU作品10本目の北米4億ドル到達も見えてくる。
2位には人気ドラマシリーズ「ダウントン・アビー」の劇場版第2作となる『Downton Abbey: A New Era』が初登場。3日間の興収1600万ドルは、2019年に公開された劇場版第1作のオープニング興収3100万ドルを大きく下回る数字。その第1作は最終的に北米累計9685万ドルを売り上げ、世界興収も1億9219万ドルを記録していた。同作の興行の要となるイギリスでは初週1位スタートを飾って以後3週連続で2位をキープしているものの、現時点で興収1532万ドルと、まだ前作の最終興収3449万ドルの半分にも到達していない。
米英ともに興行的にはかなり厳しい戦いを強いられている一方で、批評集積サイトの「ロッテン・トマト」によれば批評家からの好意的評価は85%、観客からは97%と、前作を上回る高い評価を獲得。シリーズの安定した人気の高さに加え、前作を手掛けたマイケル・エングラー監督から『マリリン 7日間の恋』(11)などで高い評価を得たサイモン・カーティス監督へと代わったことが大きく奏功したと窺えよう。
ほかには、『エクス・マキナ』(15)のアレックス・ガーランド監督と『ロスト・ドーター』(Netflixで配信中)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたジュシー・バックリーがタッグを組んだA24配給のSFホラー『Men』が5位に初登場。同じA24作品で公開9週目を迎えた『Everything Everywhere All at Once』は、ついに累計興収5000万ドルを突破した。
また『ザ・ロストシティ』(6月24日日本公開)は平日中にも累計興収1億ドル突破が確実視されており、苦しい興行が続いている『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(日本公開中)も1億ドル到達がなんとか可能なラインに。次週末には『トップガン マーヴェリック』(5月27日日本公開)が、オープニングとしては過去最大の上映館数で公開されるだけに、これらの作品がどれだけ上映館を維持して興収を伸ばせるかにも注目しておきたい。
文/久保田 和馬