強すぎるマブリーVS「私の解放日誌」で話題のソン・ソック!『犯罪都市2』が快進撃を続ける理由
マ・ドンソク主演の『犯罪都市2』が、韓国で快進撃を続けている。映画振興委員会の統合計算ネットワークによると、公開10日目で500万観客を突破。その週末には、600万人を集めて1位を死守した。また、パンデミックで劇場から観客が遠のくなかで『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(21)が公開14日目に観客動員数500万人を突破したことを考えると、歴代級のスピードだ。近日中にも前作『犯罪都市』(17)の最終動員数688万人を超えると見られており、すでに『パラサイト 半地下の家族』(19)以来の1000万人に達する映画とも期待されるなど、日々その記録を更新中だ。
「犯罪都市2」は、腕っ節ひとつで犯罪者を駆逐する刑事マ・ソクト(マ・ドンソク)と衿川西強力班が、ベトナム一帯を掌握する最強の敵カン・ヘサン(ソン・ソック)を捕まえるために繰り広げる掃討作戦を描く。『エターナルズ』(21)以降、久々に韓国映画界へ戻って来たマ・ドンソクは、“MCU” (マ・ドンソク・シネマティック・ユニバース)の始まりと呼ばれた前作に続き、怪物刑事マ・ソクト役を熱演したほか、製作・脚色にも参加。「『犯罪都市』のマ・ソクトよりさらに進化したアクションをお見せするために、得意分野のボクシングのほか、柔道、護身術などの技術を磨きたいと思った」と語るなど、気合十分で臨んだ成果が興行の成功として結実した。ボディビルで鍛え上げられた堂々とした体格から繰り出されるアクション、バイオレンスな描写の中にもユーモアを醸し出せる演技の多様さといったマ・ドンソクならではの魅力が、多くの観客を惹きつけている。
『犯罪都市2』の大ヒットには、本作で悪役に加わったソン・ソックも一役買っている。 彼はドラマ「私の解放日誌」(Netflixにて配信中)で、正体不明だがなぜか気になる不思議な男・ク氏として出演。“ツンデレ”な素振りで視聴者から熱い視線を受け、「(ブランドの)グッチよりク氏」という言葉も生まれた。また『恋愛の抜けたロマンス』(7月8日公開)では仕事も恋愛も上手く行かない冴えない男を演じ、さらには今年下半期の撮影が予定されているドラマ「殺人者○ナンガム」にチェ・ウシクとともにオファーを受けるなど、いまホットな俳優の一人として名前が挙がっている。
ソン・ソックは「 『犯罪都市 』は、自分がこれまで一番おもしろく観た映画のうちの一つ」とためらわずに答える。憧れていた作品で悪役を演じるには、「お前は誰だ!」という流行語を残した前作の極悪朝鮮族、チャン・チェン(ユン・ゲサン)以上の強いインパクトが必要だった。ソン・ソックは、カン・ヘサンがどのような人物であり、なぜそのような行動を取るのか、どのような目的があるのかといった質問をイ・サンヨン監督と重ね続け、キャラクターを綿密に造型していったという。韓国映画史に残るヴィランとして登場したソン・ソックは、 穏やかな好青年の顔から変貌を見せ、マ・ドンソクのカリスマ性に負けない強烈な存在感で作品を牽引した。
本作を配給するABOエンターテインメントによれば、すでに日本を含む海外132か国に先行販売されているという。チョン・ウソンが主演作『ハント』で参加した第75回カンヌ国際映画祭のインタビューで本作の成功への喜びを語ったほど、コロナ禍に陥っていた韓国映画界を活気づけ、他の俳優にも力を与えた『犯罪都市2』。日本での公開が待ち遠しい。
文/荒井 南