「怪盗クイーン」シリーズ原作者のはやみねかおる、20年目にして明かす制作秘話「なにを盗ませるかいつも悩みます」

インタビュー

「怪盗クイーン」シリーズ原作者のはやみねかおる、20年目にして明かす制作秘話「なにを盗ませるかいつも悩みます」

2002年に誕生し、累計発行部数120万部を突破したはやみねかおるの「怪盗クイーン」シリーズ第一弾である同名小説を映画化した、『怪盗クイーンはサーカスがお好き』(公開中)。2020年には作家生活30年という節目も迎えたはやみねに、今年でシリーズ生誕20年の「怪盗クイーン」の制作秘話と共に、映画の魅力をたっぷりと語ってもらった。

『怪盗クイーンはサーカスがお好き』の原作者、はやみねかおるがシリーズ誕生から20年目にして明かす制作秘話とは?
『怪盗クイーンはサーカスがお好き』の原作者、はやみねかおるがシリーズ誕生から20年目にして明かす制作秘話とは?

「トルバドゥールが飛ぶシーンを観た時、ファンのような気持ちでうれしくなりました」

はやみね作品といえば、2021年に実写映画化された『都会のトム&ソーヤ』も記憶に新しいところだが、『怪盗クイーンはサーカスがお好き』も映画化発表後、Twitterで「はやみねかおる」「夢水清志郎」がトレンド入りを果たすなど、30代を中心とする“はやみねチルドレン”の反響が相当高かったことはいうまでもない。

まずは映画化が決定した時の感想を尋ねると「本当にうれしかったです。ただ、いつも実写化やアニメ化の話は、途中で企画が消えてしまうことが多かったので、あまり期待しすぎないようにと、セーブをかけながらワクワクしていました。でも、ようやく先行試写会で拝見して『ああ!ホンマに映画になったんや!』と喜びました。20年間、イラストを描いてくれているK2商会さんや、編集担当者の方、書店の方、なによりも20年間ずっと付き合ってくださった読者の方がいてくださったこともありがたかったです」と心から感謝する。


怪盗クイーンは、ジョーカーや人工知能のRDと共に様々な宝を手に入れてきた
怪盗クイーンは、ジョーカーや人工知能のRDと共に様々な宝を手に入れてきた[c]はやみねかおる・K2商会・講談社/「怪盗クイーン」製作委員会

怪盗クイーンは、パートナーのジョーカーや人工知能のRDと共に飛行船トルバドゥールで世界中を巡り、狙った獲物は必ず手に入れてきた。そんなクイーンが今回目をつけたのは、呪われた宝石「リンデンの薔薇」。しかし、突如現れた謎のサーカス団に宝石を横取りされてしまうクイーン…その雪辱を果たせるのか?
クイーン役の声優を元宝塚歌劇団宙組トップスターの大和悠河が、ジョーカー役を「B-PROJECT」で愛染健十をつとめた加藤和樹が、人工知能RDを「呪術廻戦」で伏黒恵をつとめた内田雄馬が演じ、「ポケットモンスター」で演出を手掛けた傳沙織が監督を務めた。

完成した映画を観た感想を聞くと、「トルバドゥールが飛ぶシーンを観た時、自分もファンのような気持ちでうれしくなりました。声優さんの声もぴったりだと思いましたし、トルバドゥールの登場時やエンディングでカモメが飛んでいたので、深いところまで原作を読んでくれているなと感心しました」と喜びを口にした。
原作の冒頭で、高い空を目指して飛ぶカモメが、もうこれ以上高く飛べないと力尽きた時に、トルバドゥールを目撃し「きっとあそこは天国だ。次はあれを追い越すぞ!」と決意するシーンがある。はやみねはそのカモメの心情まできちんと描き込まれていたことに感激したという。

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