土屋神葉、被災地が舞台の『映画 バクテン!!』に万感の想い「本作に携われて光栄」と感涙
フジテレビ「ノイタミナ」枠にて放送されたテレビアニメを映画化した『映画 バクテン!!』(公開中)の初日舞台挨拶が7月2日に新宿バルト9で開催され、土屋神葉、石川界人、近藤隆、村瀬歩、黒柳トシマサ監督が登壇。主人公、双葉翔太郎役の声優を務めた土屋は、役者として本作に携われたことを光栄に思っているとし、キャラクターには本作への願い、思い、祈りがポジティブに明るく込められていると語り、涙を浮かべた。
「バクテン!!」は宮城県岩沼市を舞台に、男子新体操と出会った少年、双葉翔太郎が、私立蒼秀館高等学校(通称:アオ高)男子新体操部に入部し、チームで奮闘していくというスポ根×青春群像劇。
6月に行われた完成披露上映会でのSNSの反響について、土屋が最近始めたというTwitterで、石川が「お客さんの方が魅力を伝えることがうまい」という内容のコメントを見たと告白。石川が「名ツイート」だと自画自賛すると、すかさず村瀬が「自分で言うのか!」とツッコミを入れる。石川は、作り手側からするとお客さんがいないと作品は完成しないし、お客さんの方が言葉を紡ぐのがうまいと素直に思った結果のツイートだと語った。
アオ高のライバル校であるシロ高男子新体操部の1年生、月雪ましろ役の村瀬は、双葉と美里(石川)の成長を見るとグッとくるものがあるし、映画の台本を見てその内容に衝撃を受けたと熱いトークを繰り広げる。その最中にいきなり腕からミサンガがちぎれ落ちるというハプニングが起こった石川は、「映画大ヒットの夢が叶います!」と喜びの表情を浮かべた。
見せ場である新体操の試技シーンでは、指先やつま先まで繊細に描かれていることが話題に。土屋は黒柳監督と一緒に、アオ高の参考にされたという名取高校を表敬訪問したが、その時、男子新体操部の監督が黒柳監督に、新体操の繊細な動きをあそこまで表現してくれると思わなかったと話しているのを聞いたそうで、「バクテン!!」が足がかりとなって男子新体操が人気になってくれればと語った。
続いて、アオ高とシロ高についてクロストーク。村瀬は「ネタバレキワキワで話しますよ」と前置きし、人間上手くいくときといかない時があって、ましろはそれを体感的に上手く捉えていると話した。さらに本作では、ましろの目を通してのアオ高の描写も描かれていると言い、シロ高が出ることによってよりアオ高の状況が伝わりやすい、とまとめたあと「めっちゃうまく(ネタバレを回避して)トークしてる!観終わったら分かってくれるはず!」と自画自賛し、会場の笑いを誘った。
また、美里の心情の変化について石川は、PVでもわかる通りちょっとした揉めごとがあると内容を話し、そこにどう向き合っていくのかが注目だとしつつ、自身のキャラクターについて1シーンごとに成長しているとコメント。
本作では、インターハイのその後も描かれるが、土屋と近藤は、それぞれがぶち当たる壁をどう乗り越えていくのかが見られるとアピール。監督は、大会で勝っても負けても彼らの人生はその後も続いていき、青春は通過点だと考えを述べたうえで、青春は言葉を変えてみんなの中にずっと続いていくものであり、「バクテン!!」でそれを伝えたかったと、熱い想いを語った。
舞台挨拶の終盤で、土屋は本作が東日本大震災の被災3県の岩手県、宮城県、福島県を舞台にしたアニメプロジェクト「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」で最後の作品だと改めて語ったあと、キャラクター名が宮城県の地名になっていることを知った時に、本作が担うもの、伝えたいことの大きさに圧倒されたとコメント。また、この温かい作品をたくさん愛してほしいと呼びかけたあと、志田監督の劇中のセリフ「楽しんで!」と客席に言葉を投げかけ、大盛況のまま舞台挨拶は幕を閉じた。
文/山崎伸子