韓国最大の“ジャンル映画の祭典”が華やかに開催。『コンジアム』監督の新作、ソル・ギョング特集まで!

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韓国最大の“ジャンル映画の祭典”が華やかに開催。『コンジアム』監督の新作、ソル・ギョング特集まで!

BIFAN恒例の俳優特別展「ソル・ギョングはソル・ギョングだ」

BIFAN恒例の俳優特別展では、日本でもまもなく公開される『キングメーカー 大統領を作った男』(8月12日公開)の主演であるソル・ギョングが特集された。

チョン・ジヨン組織委員長はソル・ギョングを「韓国映画界で重要な俳優」と絶賛
チョン・ジヨン組織委員長はソル・ギョングを「韓国映画界で重要な俳優」と絶賛[c]BIFAN All right Reserved.

記者会会見では、『折れた矢』(12)などの社会派監督チョン・ジヨン組織委員長が、ソル・ギョングとのエピソードを披露した。『ペパーミント・キャンディー』(99)の撮影へ応援に駆けつけたチョン・ジヨン監督は、映画界の先輩である自分に挨拶をしない新人俳優のソル・ギョングに驚き、失礼に感じたそうだ。しかし、イ・チャンドン監督から「彼は今、役に入り込んでいる」と聞き、「俳優のダニエル・デイ=ルイスがその映画の撮影が終わるまでは役から抜け出せないと言っていたが、ソル・ギョングもそうだと知り尊敬が生まれた」と感慨深く話した。そして今回の特集は「演劇界出身の映画人として先陣を走ってきた彼の功績を称えるため、必ず実現したかった」と意気込んだ。

「俳優としてこれからが重要」と答えるソル・ギョング
「俳優としてこれからが重要」と答えるソル・ギョング[c]BIFAN All right Reserved.

そんな惜しみない称賛に対し、ソル・ギョングは「特別展が決まった後、今後どんな役柄を演じるべきか、どんな作品に出るべきかについてより深く考えるようになりました。これからが重要だと思います。演技に才能は関係なく、秘訣も絶対にないでしょう。永遠に解けないと知りながらも解こうとしなければならない宿題だと思います」と謙虚に返した。そして「30年後には私の回顧展も開催できるでしょう。その時は“それでも人生は美しい”というタイトルで開かれてほしいです 」と、彼が自身の代表作として挙げた『ペパーミント・キャンディー』に縁ある言葉で締めくくった。

ポスターもスタイリッシュな特別展「ソル・ギョングはソル・ギョングだ」
ポスターもスタイリッシュな特別展「ソル・ギョングはソル・ギョングだ」[c]BIFAN All right Reserved.

「イカゲーム」の大成功が“ジャンル映画”を加速させる

また、今年初めて創設された「シリーズ映画賞」は、韓国ドラマをグローバルコンテンツに押し上げた「イカゲーム」に贈呈された。シン・チョル執行委員長によれば、「文化とテクノロジーの結合で多様な形のビジュアルストーリーテリングが誕生している。時間と空間の制約が消えた今、「イカゲーム」のようにOTT(動画配信サービス)でストリーミングされるシリーズはもちろん、YouTube、TikTokなど多様な視聴サービスのコンテンツも映画として受け入れなければならない」という趣旨で「シリーズ映画賞」を制定したという。「BIFANの『シリーズ映画賞』は、映画賞を新設したという意味を超え、映画の新しい定義に対する韓国・富川の特別な提言だ。全世界の映画界を対象に映画の領域を拡張する世界初の試み」と、その意義を強調した


昨年に引き続き、スローガンを“Stay Strange”(「変わっていても大丈夫」)としたBIFAN。シン・チョル執行委員長は、「イカゲーム」がその暴力的な描写のために長らく企画が実現しなかったエピソードに触れ「新しいことは変なことだとして虐げられるが、富川は“変なこと”を尊重する映画祭」と胸を張る。多様な価値観が求められる現代。新しさと面白みを兼ね備えた映画を世界に発信し続けるBIFANが、これからもますます存在感を強めていくことだろう。

文/荒井 南

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