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「イカゲーム」の快挙、SFへの進出…昨今の韓国コンテンツの流れから見えてくる2022年の注目作は?

コラム 2022/1/23 18:30

「イカゲーム」の快挙、SFへの進出…昨今の韓国コンテンツの流れから見えてくる2022年の注目作は?

「イカゲーム」がNetflix史上最大のヒット作として世界的な社会現象を巻き起こした2021年。前年の「愛の不時着」&「梨泰院クラス」を悠々と超えるその過熱ぶりは、韓流コンテンツの実力が一過性のものではないことを知らしめた。『パラサイト 半地下の家族』(19)以降、世界中から熱い視線を集めるまでに至った韓国の映画とドラマ。昨今の潮流を振り返りつつ、今年の注目作を紹介していきたい。

映画界の人材のドラマへの進出、ヒットを連発するウェブトゥーン原作

2021年の韓国コンテンツで最も注目を集めたのが、配信開始1か月で1億4200万世帯が視聴した「イカゲーム」だ。ハロウィンの頃には多くのセレブたちが作品のコスプレを披露。アメリカの学校では「イカゲーム」のコスプレ禁止令まで敷かれたほどで、韓国に限定せず、世界の作品のなかでも主役と言うべきセンセーショナルを巻き起こした。

【作成中】「イカゲーム」の世界的大ヒットなど、韓国コンテンツブームのキーワードとは?
【作成中】「イカゲーム」の世界的大ヒットなど、韓国コンテンツブームのキーワードとは?[c]Netflix / Courtesy Everett Collection

オ・ヨンスはゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞した(「イカゲーム 」)
オ・ヨンスはゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞した(「イカゲーム 」)[c]Netflix / Courtesy Everett Collection

多額の借金を抱えたプレイヤーたちによる大金を懸けたデスゲームが題材の本作は、話題性はもちろん中身も高く評価され、ゴールデングローブ賞ではドラマ作品賞、主演男優賞(ドラマ部門)、助演男優賞の3部門でノミネート。そしてオ・ヨンスが助演男優賞を韓国人俳優として初めて受賞した。

このヒット&高評価の要因の一つが、映画界で活躍している才能が顔をそろえたことだろう。メガホンを握ったのは『トガニ 幼き瞳の告発』(11)で、ろうあ者福祉施設の闇に切り込んだ一方、『怪しい彼女』(14)ではエンタメ色の強い作品を作り上げたファン・ドンヒョク監督。「イカゲーム」でも韓国における格差社会を背景にしたデスゲームという、社会のグロテスクな面を残酷かつスリリングに描いてみせた。

映画界で活躍するイ・ジョンジェが主役に抜擢された(「イカゲーム 」)
映画界で活躍するイ・ジョンジェが主役に抜擢された(「イカゲーム 」)[c]Netflix / Courtesy Everett Collection

さらに俳優陣では、借金まみれのダメ親父の主人公を演じ、新境地を開拓したイ・ジョンジェをはじめ、主人公がゲームに参加するきっかけをつくる謎のメンコ男にコン・ユ、さらにはイ・ビョンホンと現在の韓国映画界を牽引するビッグネームが名を連ね、作品にクオリティをもたらした。

海を越えて日本の三池崇史が「Connect(英題)」を手掛けることが決まっていたりと、「イカゲーム」に限らず韓国のドラマ業界では、映画界の人材を起用する動きが多く見られる。Netflixオリジナルドラマ「地獄が呼んでいる」もまた、『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)などで知られるヨン・サンホが監督、さらに『バーニング 劇場版』(18)のユ・アインが主演を務め、こちらも配信されるや否や初登場世界1位を獲得する大ヒットとなった。


バレエダンサーとおじいさんの交流を描いた「ナビレラ-それでも蝶は舞う-」
バレエダンサーとおじいさんの交流を描いた「ナビレラ-それでも蝶は舞う-」[c]tvN/Netflix / Courtesy Everett Collection

この「地獄が呼んでいる」のもう一つの大きなポイントが、“ウェブトゥーン”と呼ばれるWEB漫画を原作としていること。原作者はヨン・サンホ監督自身だ。韓国では2010年代からケーブルテレビ局が台頭したことにより、コンテンツの激戦化が始まり、「梨泰院クラス」など、それまでのドラマと一線を画すウェブトゥーンを原作としたユニークなドラマが急増&ヒットを飛ばしている。2021年も「ナビレラ-それでも蝶は舞う-」や「わかっていても」といった多くのウェブトーゥン原作ドラマが生みだされた。

韓国のドラマでは、突飛な世界観をしっかりとお金をかけて実写化している
韓国のドラマでは、突飛な世界観をしっかりとお金をかけて実写化している[c]Netflix / Courtesy Everett Collection

ウェブトゥーン原作ものは、奇抜かつ地上波では放送できないような過激な内容の作品も多い。実際「地獄が呼んでいる」も、不可解な存在に地獄行きを宣告された人々が、正体不明のゴリラのような怪物によって残酷に殺され、混乱に陥るというダークかつファンタジックなストーリーが展開する。

「地獄が呼んでいる」ではゴリラ的ななにかによって殺されるという強烈な物語が繰り広げられる
「地獄が呼んでいる」ではゴリラ的ななにかによって殺されるという強烈な物語が繰り広げられる[c]Netflix / Courtesy Everett Collection

一見、安っぽくなってしまいそうな突飛な世界観だが、十分な資金を費やし、さらに容赦のない過激なシーンを盛り込むことで、原作の魅力を映像面から丁寧かつハイクオリティに実写化。これはNetflix作品だけでなく、ケーブル局制作のコンテンツにも言えることで、それゆえに世界で勝負できる作品が次々と生まれている。

一方、近年停滞気味なのが地上波のドラマ。その原因の一つが、放送法で中間広告を入れられないことやケーブル局の台頭により、広告収入がグッと落ち込んでしまったこと。そんな状況を解消するため、昨年7月には中間広告が解禁される動きも。これにより制作の現場や作品にどのような影響が出るのか?今後の動きに注目したい。

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