「ニュースとは違う形でウクライナに触れてほしい」前TIFFディレクター・矢田部吉彦がチャリティ上映「ウクライナに寄せて」の意義を熱弁
「『ラブ・ミー』で、美しいキーウの街を目にすることができる」
一方の『ラブ・ミー』は、ウクライナの首都キーウを舞台に、ウクライナ人女性サーシャとトルコ人男性ジェマルが出会い、言葉が通じないながらも互いに心を通わせようとしていくビタースウィートな恋愛ドラマ。本作の共同監督を務めたマリナ・エル・ゴルバチとメフメト・バハドゥル・エルは、長年のコンビを組んでおり、手掛けた最新作『Klondike』(22)は第38回サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドラマティック部門監督賞や第72回ベルリン国際映画祭パノラマ部門エキュメニカル賞の受賞を果たした注目なクリエイターだ。
矢田部は『ラブ・ミー』について「ウクライナの持つ、様々なバックグラウンドがわかる」とラブストーリーを通して、現地の社会問題も目撃したと話す。「ロシアのウクライナへの侵攻があったあと、プーチン大統領とロシア富裕層とのつながりがいろいろと報道されましたが、本作からは、その富裕層がどのような存在なのかが見えてくる。彼らのような存在が経済を支えているのかと思うと、恐ろしくなりました。またジェマルは、独身最後に羽目を外すために親戚に連れられてウクライナにやって来ますが、これはいわゆる買春ツアーですよね。非常に不快なツアーですが、実際にそういうことがあったのだろうということも理解できます。また、ジェマルが途中で出会うトルコ人のおじさんもとても印象的です。どのキャラクターも人間臭く魅力的で、彼らの織りなす物語から、トルコとウクライナの関係が見えてくるというところが、とてもおもしろかったです」と見どころを吐露。
「ラストがまた、いいですよね。これから観る方のために詳しくお話しすることはできないですが、わかりやすいラブコメ的なエンディングにしないところが、すごくいいなと思いました」と目尻を下げ、さらに「キーウの街がとても美しく映しだされている」とも。「白い雪に覆われた光景を見ていると、とても美しい街だなと思いました。いまこの街は、戦争によって破壊されているのかと思うと、非常に胸が痛い。制作された当時といま観るのとでは、また全然見え方が変わると思いますし、美しいキーウの記録であることも頭に浮かべながら観たい映画です」と風景にも注目してほしいという。
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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022 チャリティ上映「ウクライナに寄せて」
■スクリーン上映
『この雨は止まない』
日程:7月22日(金) 17:00〜18:42
会場:SKIPシティ 多目的ホール
『ラブ・ミー』
日程:7月20日(水) 13:50〜15:20
会場:SKIPシティ 多目的ホール
■オンライン配信
配信期間:7月21日(木) 10:00~7月27日(水)23:00
URL:http://www.skipcity-dcf.jp/