新旧キャストがともに活躍『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』、全身から感情を放つ眩さ『今夜、世界からこの恋が消えても』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、30年にも及ぶ大人気アクション超大作の最終章、道枝駿佑&福本莉子のフレッシュなタッグで描くせつないラブストーリー、『哭声/コクソン』(16)のナ・ホンジンプロデュース最新作の、心を掴まれる3本。
シリーズ完結編と呼ぶにふさわしい超大作…『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(公開中)
「ジュラシック・ワールド」シリーズ第3弾。世界各地に放たれた恐竜たちの保護活動をするオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、狡猾な恐竜密猟者に狙われる。一方バイオ企業バイオシンは、広大な土地で恐竜を放し飼いにする恐竜保護地区を開設するが…。
3部作の最終作である今作のテーマは、人類と恐竜の共存。科学の誤用を軸にした「パーク」3部作に対し、その結果をどう受け止めるかという次の段階を描いてきた「ワールド」らしい壮大な物語がついにクライマックスを迎える。「パーク」シリーズの主役トリオが『ジュラシック・パーク』(90)以来30年ぶりに集結。“顔見せ”レベルではなく、オーウェンやクレアとともにドラマを引っぱる存在として活躍する姿も見どころだ。遺伝子操作によるオリジナル種を含め恐竜たちの見せ場もシリーズ中群を抜くボリュームで、30年にわたる「ジュラシック」シリーズ完結編と呼ぶにふさわしい超大作である。(映画ライター・神武団四郎)
全身から感情を放たんばかりの眩さ…『今夜、世界からこの恋が消えても』(公開中)
眠ると前日のことを忘れてしまう難病「前向性健忘」を患ったヒロインのために毎日新しい思い出を贈り続ける主人公。彼には彼女に伝えていない秘密があった。恋愛映画の名手、三木孝浩監督のもと、脚本は『君の膵臓をたべたい』(17)の月川翔監督と『ホリミヤ』(21)の松本花奈監督、さらに音楽は『糸』(20)の亀田誠治という万全の布陣で、なにわ男子、道枝駿佑&福本莉子の初々しいW主演ラブストーリーをバックアップ。
傷つかないため、傷つけないため、本気で恋をしないように接するも、いつの間にか恋に落ちる二人をドラマ「消えた初恋」で共演済みの道枝と福田が息のあった距離感で表現。特に道枝は無色な日常を過ごしていた内気な文学青年がヒロインと出会い、日々に彩りを与えられ、輝いていく様子を全身から感情を放たんばかりの眩さで演じている。彼らの恋を見守る同級生役の古川琴音の卓越した演技はラブストーリーをヒューマンドラマに押し上げる迫力。物語の鍵を握る重要な役柄で、目が離せない。(映画ライター・高山亜紀)
恐怖の沸点をジワジワと高める演出…『女神の継承』(公開中)
疑似ドキュメンタリー形式のホラーはいまや珍しくないが、そのリアリティを活かしたオカルト奇談として本作は久々の力作。タイの女系祈祷師一族を取材しているクルーが目にした怪現象。後継者かもしれない若い娘ミン(ナリルヤ・グルモンコルペチ)が狂気に憑かれて暴走する。
『エクソシスト』(74)の悪魔に憑かれたヒロインのごとく暴れ、錯乱し、家族を苦しめるミン。映画は彼女を救おうとする家族の信仰に肉迫し、意外な事実を明らかにしながら凄惨なクライマックスへと突入。『哭声/コクソン』(17)のナ・ホンジン監督が、同作に登場した祈祷師のキャラを深掘りし、本作をプロデュース。『心霊写真』(06)で注目されたピサヤタナクーン監督の、恐怖の沸点をジワジワと高める演出が光る。心して見よ!(映画ライター・有馬楽)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼