『DC  がんばれ!スーパーペット』が北米V!A24最大ヒットの“マルチバース”映画が再拡大

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『DC がんばれ!スーパーペット』が北米V!A24最大ヒットの“マルチバース”映画が再拡大

7月の北米月間興行収入の総計は、2020年以降で初めて10億ドルを突破する約11.3億ドルとなった。5月、6月に公開された『トップガン マーヴェリック』(日本公開中)と『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(日本公開中)が堅調な興行を続け、7月公開作も『ミニオンズ フィーバー』(日本公開中)と『ソー:ラブ&サンダー』(日本公開中)が興収3億ドルを突破。今後は年末シーズンまでメガヒットが見込める作品はごくわずかだが、サマーシーズンの成功は映画興行の本格的な回復を示す良い兆しといえよう。


世界征服を目論む敵に、ペットたちがスーパーパワーで立ち向かう!
世界征服を目論む敵に、ペットたちがスーパーパワーで立ち向かう![c]Everett Collection/AFLO

そんな7月の最終週となった先週末(7月29日から31日)の北米興収ランキングを制したのは、DCコミックに登場する「Legion of Super-Pets」の活躍を描いたアニメーション映画『DC がんばれ!スーパーペット』(8月26日日本公開)。クラーク・ケント/スーパーマンの愛犬クリプトらDCヒーローのペットたちが、個性あふれるスーパーパワーを駆使してスーパーマンの救出に乗りだす大冒険が描かる。クリプトの声を務めるのは『ブラック・アダム』(12月2日日本公開)でDCEU入りを果たすドウェイン・ジョンソンだ。

4314館で公開され、初日から3日間の興収は2300万ドル。これは4月に公開されたドリームワークス製アニメ『バッド・ガイズ』(10月7日日本公開)とほぼ同水準。さらに遡れば、同じワーナーの『スモールフット』(18)やドリームワークスの『スノーベイビー』(19)も2000万ドル台前半のオープニング興収となっており、これが近年の非フランチャイズかつ非ディズニーのメジャーアニメのひとつの基準ラインと判断できる。

そのなかでも成功を収める作品は『ボス・ベイビー』(18)のようにオープニングから5000万ドルを超える興収を飾るため、『DC がんばれ!スーパーペット』の場合は堅実に基準ラインに到達しながらも、興行的にはもうひと伸び欲しいところ。それでも先に述べたように映画興行全体が完全に回復してきたこと、作品評価も決して悪くないことを踏まえれば息の長い興行が期待でき、最終的には8000万ドルから1億ドルあたりの着地点となるだろうか。

【写真を見る】A24作品史上最大のヒットを記録!ルッソ兄弟製作の“マルチバース”映画が再び拡大公開
【写真を見る】A24作品史上最大のヒットを記録!ルッソ兄弟製作の“マルチバース”映画が再び拡大公開[c]Everett Collection/AFLO

今回久々に取り上げたいのは、公開から19週目を迎え、いまだ13位にランクインしているA24作品『Everything Everywhere All at Once』だ。すでに北米累計興収6800万ドル、全世界累計興収9600万ドルを超え、A24作品史上最大のヒットとなっている同作は、先週末から2度目の拡大公開がスタート。しかも約8分間の未公開シーンを加えたバージョンでの上映となっている。

前週と比較すると劇場数は170館から1490館と8倍以上増え、興収はおよそ7倍。過去に同じA24の『ミッドサマー』(19)も公開9週目からディレクターズカット版を公開し、劇場数を一気に15倍に増やして興収も前週比13倍と跳ね上げた実績がある。数字的なインパクトはそれに劣るとはいえ、3月から公開を続けてすでに配信リリースもパッケージリリースも済んでいる作品がいまだ好調な点は見逃せない。このまま秋シーズンまで調子を持続させれば、期待されてきた賞レース参戦の可能性もより高まるはずだ。

文/久保田 和馬

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