少女時代のユナ、カン・ミナ…安定した演技と抜群の存在感の“演技ドル(ヨンギドル)”は誰?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
少女時代のユナ、カン・ミナ…安定した演技と抜群の存在感の“演技ドル(ヨンギドル)”は誰?

コラム

少女時代のユナ、カン・ミナ…安定した演技と抜群の存在感の“演技ドル(ヨンギドル)”は誰?

アイドルが俳優として演技に挑戦すると必ずついてくる修飾語“ヨンギドル”(演技という意味の韓国語“ヨンギ“とアイドルの合成語)。そしてヨンギドルが“パルヨンギ“(直訳すると“足演技“、プロとは思えないような下手な演技という意味)で炎上するのも、数年前までは当たり前に思われていた。高い知名度と人気を背に比重が大きい役に抜擢されても、ぎこちない演技で作品のクオリティを下げてしまうことが多かったため。

しかしここ数年でそういう風潮も変わってきて、いまは「なかなか実力のある若手女優かと思いきや、実はアイドルだった」という事例が増えてきている。なかには小さな役から着実にフィルモグラフィーを積み上げ、「この人が出演する作品は必ず売れる」と言われるほど成長したケースも少ないない。韓国ドラマがアジアをはじめ世界中で爆発的な人気を博しているなか、安定した演技と抜群の存在感で特に好評されているアイドル出身の女優を紹介したい。

演技歴14年、韓国を代表する“ロコクィーン”になるまで…努力派女優・ユナ

【写真を見る】災難状況でさえ輝く『EXIT』(18)のユナの美貌
【写真を見る】災難状況でさえ輝く『EXIT』(18)のユナの美貌[c]CJ E&M

アイドルグループ“少女時代“のユナは“パルヨンギ“という非難を乗り越え、いまは代表的な“ロコクィーン”(ロマンチックコメディの女王)と呼ばれている努力派女優。2007年、韓国の大手芸能プロダクションであるSMエンターテインメントが心血を注いで製作したガールズグループのセンターという重要なポジションで華やかにデビューしたユナ。翌年はドラマ「君は僕の運命」にて主人公のチョン·セビョク役を務め、アイドルグループにはあまり興味がない中高年層にも顔を覚えてもらえるようになったが、「演技が下手すぎる」という酷評もあった。

以降ユナは「シンデレラマン」「ラブレイン」「総理と私」などの作品で主演を務めたが、大衆や評論家より「いつも似たようなキャラクターで、似たような演技ばかり」と言われ、なかなか女優として頭角を現すことはできなかった。そんな彼女のターニングポイントになった作品がドラマ「THE K2〜キミだけを守りたい〜」だ。同作でユナは影のように扱われてきた大統領候補の隠し子・アンナ役を務め、閉ざされた心を次第に開いていく過程を繊細に描いたと好評された。

「ビッグマウス」でイ・ジョンソクと共演しているユナ
「ビッグマウス」でイ・ジョンソクと共演しているユナ[c]2022 Disney and related entities

そこからユナは『コンフィデンシャル/共助』(17)、『EXIT』(18)、『手紙と線路と小さな奇跡』(21)などの作品で安定した演技を披露し、名実共に実力派女優として位置づけられた。現在ユナはドラマ「ビッグマウス」で、殺人事件に巻き込まれた弁護士パク・チャンホ(イ・ジョンソク)の妻、ミホ役を演じながら、少女時代のメンバーとしても活躍している。また、アイドルグループ2PM出身のジュノのキャスティングで話題になったドラマ「キング・ザ・ランド」(仮題)にも出演を確定し、秋から撮影を始める予定。

“ぽちゃかわ“アイドルから美しすぎる女優に変身…カン・ミナ

「ホテルデルーナ~月明かりの恋人~」で女優として注目されはじめたカン・ミナ
「ホテルデルーナ~月明かりの恋人~」で女優として注目されはじめたカン・ミナ[c]tvN

Netflixで配信中のドラマ「美男堂の事件手帖」で天才ハッカー・ヘジュン役を演じているカン・ミナは、2016年、韓国のオーディション番組「PRODUCE 101」に出演し、最終順位9位で“I.O.I”のデビューメンバーに選抜された。同時にもう一つのガールズグループ“gugudan“のメンバーとしても活動していたカン・ミナは、翌年「2度目のファースト・ラブ」で主人公ハン・イェスルの子役として女優デビューを果たした。初めてのドラマ出演だったにもかかわらず、カン・ミナは自然な演技で合格点をとれた。

「美男堂の事件手帳」で天才ハッカーを演じているカン・ミナ
「美男堂の事件手帳」で天才ハッカーを演じているカン・ミナ[c]KBS


以降「トッコ リワインド~復讐の毒鼓~」「ケリョン仙女伝~恋の運命はどっち!?~」に出演したカン・ミナは、イ・ジウン(IU)とヨ・ジング主演のドラマ「ホテルデルーナ~月明かりの恋人~」をきっかけに、本格的に“女優カン・ミナ“として名を馳せ始めた。「PRODUCE 101」ではぽっちゃりした可愛いイメージで注目を集めたが、女優カン・ミナは180度変わり、大人しい雰囲気で男心をくすぐっている。

ロマンティックコメディからアクションまで!演技の天才、キム・セジョン

「社内お見合い」で愛しいお転婆のハリ役を完璧にこなしたキム・セジョン
「社内お見合い」で愛しいお転婆のハリ役を完璧にこなしたキム・セジョン写真:EVERETT/アフロ

“ヨンギドル”として最も高い評価を受けているのは、ドラマ「今日のウェブ漫画」に出演しているキム・セジョン。カン・ミナと同じく、「PRODUCE 101」にて最終順位2位でデビューし、“gugudan“のメインボーカルとしても活躍していたアイドル出身の女優である。「サウンド・オブ・ハート」「恋するレモネード」を経て、「悪霊狩猟団: カウンターズ」で華麗で豪快なアクション演技を披露したキム・セジョンは、Netflixで配信中のドラマ「社内お見合い」ではよく突拍子もないことをしてしまうけど憎めない魅力を持つお転婆・ハリ役を完璧にこなした。

「悪霊狩猟団: カウンターズ」ではジャージ姿で豪快なアクション演技を披露した
「悪霊狩猟団: カウンターズ」ではジャージ姿で豪快なアクション演技を披露した写真:EVERETT/アフロ

キム・セジョンが主演を務めている「今日のウェブ漫画」は、松田奈緒子による日本の漫画「重版出来!」を原作にしたオフィスドラマ。キム・セジョンは幼いころから柔道の韓国代表を目指していたが、怪我がもとで選手生命を絶たれてしまい、IT企業のウェブ漫画編集部に就職した主人公・マウムを、特有の明るいエネルギーで演じている。「マウムはキム・セジョンのためのキャラクター」との声が上がるほど、一点いってん非ひの打うち所どころがない演技を披露している。

「知名度が低くてよかった」本業以上に女優として大人気、ボナ

「二十五、二十一」で人気急上昇中のボナ
「二十五、二十一」で人気急上昇中のボナ[c]tvN

最近最も目立った活躍を見せてくれているのは、アイドルグループ“宇宙少女“のボナだ。ドラマ「二十五、二十一」 のユリム役を見事にこなし人気急上昇中だが、宇宙少女の知名度があまり高くないため、ボナがアイドル出身の女優ということにまだ気付いていない人も少なくない。しかし、ボナはむしろ「知名度が低くてよかった」とコメントしている。既存のイメージを変えなければならないというプレッシャーやアイドルに対する偏見を排除し、ありのままの演技を見せることができたからだ。

「私の彼はエプロン男子〜Dear My Housekeeper〜」では大人しい演技を見せてくれたボナ
「私の彼はエプロン男子〜Dear My Housekeeper〜」では大人しい演技を見せてくれたボナ[c]KBS

“彗星のように現れた新人“とよく勘違いされるが、実はボナは2017年からアイドル活動と演技を並行してきた。「二十五、二十一」 のユリムがたくさんのファンに愛されたのは、彼女が「最高の一発〜時空(とき)を超えて〜」「キミに猛ダッシュ〜恋のゆくえは?〜」「私の彼はエプロン男子〜Dear My Housekeeper〜」などの作品で演技力を磨いてきたおかげでもある。韓国のバラエティー番組で「色んな監督からラブコールを受けている」と明らかにして注目を集めたボナは、最近次期作として同名のウェブトゥーンを原作としているドラマ「朝鮮弁護士」(仮題)の出演を確定した。

様々なジャンルを渉猟!時期作ではソン・ガンホと共演するクリスタル

”クリスタルの再発見”という評価を受けた映画『エビギュファン』(20)
”クリスタルの再発見”という評価を受けた映画『エビギュファン』(20)写真:EVERETT/アフロ

アイドルグループ“f(x)“のメンバーから女優に変身したクリスタル(チョン・スジョン)も欠かせない。2009年にf(x)としてデビューしたクリスタルは、翌年からシチュエーションコメディ「見れば見るほど愛嬌満点」に出演し、演技活動を始めた。以降「ハイキック3 -短足の逆襲-」から「相続者たち」「僕には愛しすぎる彼女」「ハベクの新婦」「刑務所のルールブック」「警察授業」に至るまで、様々なジャンルの作品で多彩な魅力をアピールしてきた。最新作であるDisney+「クレイジーラブ」ではキム・ジェウクとの甘く殺伐としたロマンスを描いて好評された。

「クレイジーラブ」ではキム・ジェウクとの甘く殺伐としたロマンスを描いた
「クレイジーラブ」ではキム・ジェウクとの甘く殺伐としたロマンスを描いた[c]KBS

ドラマだけではない。初映画『エビギュファン』(20)でクリスタルは、子供を孕んだけど入籍さえせず彼氏に逃げられた大学生のトイル役を務め、これまで彼女が築いてきた“クールビューティー”なイメージとは全く違う演技を見事にこなした。同作で”クリスタルの再発見”という評価を受け、第42回青龍映画賞新人女優賞候補にノミネートした。現在クリスタルは、韓国を代表する俳優ソン・ガンホ、イム・スジョンと共に、キム・ジウン監督の新作映画『クモの巣』を撮影している。

文/柳志潤

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