草なぎ剛、『サバカン』は「ストレートにいい映画!」“新しい地図”での映画制作に意欲も
『サバカン SABAKAN』(8月19日公開)の公開初日舞台挨拶が19日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、主演の番家一路、原田琥之佑、草なぎ剛、尾野真千子、竹原ピストル、番家天嵩、金沢知樹監督が登壇。草なぎは本作について「ストレートにいい映画。金沢監督は本当に天才」だとベタ褒めしつつ、主人公の大人のパートを演じたため「僕が来る時にはもうみんな仲良し」だったと羨ましがる一幕も見せた。
本作は、1980年代の長崎を舞台にイルカを見るために冒険にでることになった二人の少年の友情と、それぞれの家族との愛情の日々を描く青春映画。遂に初日を迎え、上映前の観客を前に本作が演技初となった主演の番家が「『サバカン』を観に来てくれてありがとうございます!」と緊張気味に挨拶すると、会場からは大きな拍手が。「『サバカン』は本当にすごくおもしろいので、ぜひ笑いながら観てください!」と挨拶。同じく本作が映画デビュー作となった竹本役の原田も、「すごいゆったりした映画なので、ゆっくりして笑いながら観てください!」と満面の笑顔。
続いて久田の大人のパートを演じた草なぎは「公開、本当に嬉しいです。ストレートに伝わる良い映画を皆さんに届けられることを、本当に幸せに思っています」と挨拶。「半沢直樹」などのテレビドラマや舞台の脚本や演出を手掛け、本作が映画初監督となった金沢も「こんなに沢山の方お越しくださってありがとうございます。長崎出身なので大好きな長崎を舞台に作りました。本作を観て長崎に興味を持っていただけたら、足を運んでいただけたらありがたいなと思います」と呼びかけた。
本作の撮影を振り返った番家一路は「監督がすごくいい人で選んでくれてすごく嬉しかったです!すっごくかっこいいし、頭いいし…」と監督をべた褒めすると、金沢監督から「いや絶対そう思ってないよな」とすかさずツッコみが。「初めての映画で浮かれてビビッて緊張して、初めてこんなに大きいスクリーンに映って。でも撮影はすごく楽しかったです」と話すと、本作で番家を選んだ決め手について金沢監督が「いま喋ったような人懐っこさ、いい意味でのバカっぽさ、一緒にいて楽で緊張しないなと思って選びました」と明かした。
また、久田の両親で夫婦役として息もぴったりだった尾野と竹原は今回が初共演。お互いの印象を聞かれると、尾野は「竹原さんは歌手としてのイメージがついていて、手とか口とかが飛び交う夫婦なのでどうかかってくるのか、どんなお芝居をされるのかすごくドキドキしたんですけど、お会いすると全然構える必要がないくらいで」と回顧。
いっぽうの竹原は、「記憶が正しければ、雑談を交わすよりも先に何発もぶん殴られたり、ワーッて夫婦げんかのシーンがあったりと先にお芝居の方で濃ゆいコミュニケーションがあったので、家族で自然と一緒に行ったなという印象だった」と明かし、尾野も「竹原ピストルだから、ぴーちゃんと呼べみたいなありましたよね」と当時を懐かしむと、竹原も「ぴーちゃんです(笑)」と笑顔で応え、仲の良さをのぞかせる一幕も。
そんなキャスト陣の仲の良いやり取りを見ながら、草なぎは「僕が(現場に)来た時にはもうみんな仲良しなんですよ(笑)。僕は後で入ってきたので、僕のことなんてみんな気にしないんです。真千子ちゃんなんていなくて、ギターでも教えてもらおうかなと思ったら竹原さんもいないし。大人の役ですからしょうがないんですけど」と羨ましい表情を見せ会場を笑わせると、金沢監督が「僕の幼なじみが、とあるシーンで草なぎさんと絡むことがあったんですけど、いきなり草なぎさんと絡むなんて緊張するじゃないですか。でもそれを緊張させない感じで引き出してたんですよね」と草なぎを絶賛。それには草なぎも「誉められちゃた(笑)」と照れ笑い。
本作について草なぎは、「本当にストレートにいい映画。ストレートにいい映画って本当にない。監督はすごいと思います、天才です」と褒め称えると、「笑わせようとせず笑わせて、泣かせようとせず泣かせるっていうのが僕の信条というか。丁寧につくっただけだったんですけど…嬉しいです」と金沢監督も喜びの表情を見せた。
続いて、本作が「子ども時代の夢」もテーマになっていることから、それぞれの夢について聞かれると、番家一路は小さい時に宇宙飛行士になりたかったと明かしつつ、「でも(小学)3年生くらいになって算数と理科の成績を見て、これはだめだと(笑)。いまはお金持ちになりたいです!」と回答すると、金沢監督も「アホすぎんか(笑)」と苦笑い。いっぽう原田は「いっぱいあって、映画監督もやりたいし。でもいま一番なりたい職業は、投資家かバーテンダーの2択!」だと明かすと会場も爆笑。
つづく尾野は「まじめに、女優が夢なんです。ずっとやっていて、だんだん干されていくのかなとか色々考えていくと、もうちょっと夢を持っていていいなと。ずっとこの夢を持ち続けようと」と明かすと、草なぎも「天職じゃないですか!向上心あるね」と尊敬の眼差し。そんな草なぎは「新しい地図で映画を撮るって言っていて撮っていないので、それもやりたいなと。また新しい映画を撮りたいです」と告白。
また竹原は「歌手として海外を旅してまわってみたい」と答え、番家天嵩は「このまま仕事を続けて、撮影とか続けて、そのまま俳優になりたいです」と吐露。金沢監督は「好きな人と好きな場所で作品を作っていくというのが夢。真千子さんにシンパシーを感じました」と互いの夢について共感していた。
さらに、夏の冒険が描かれる本作にちなんで「この夏にしたい冒険」を聞かれると、尾野は「大食いとか辛いものを食べるとか、絶対できないのは分かってるんですけど、やってみたいのはあります。あと、池の水を抜くのも一回やってみたい!」とテレビ番組での挑戦を願い、草なぎは悩みながら「なにもない(笑)」と言って会場を笑わせつつ、「生きてるだけで冒険だから!毎日、夏休み!」と答えると、客席からも大きな拍手が沸き起こった。
※草なぎ剛の「なぎ」は弓へんに前の旧字体、その下に刀が正式表記
取材・文/富塚沙羅