ユニークなホラーを連発!笑いと恐怖を操る、鬼才ジョーダン・ピールの作品歴を振り返る
続編製作も示唆?最新作『NOPE/ノープ』も予測不可能!
物語を自ら作り上げるという点もピールのこだわりで、監督作『ゲット・アウト』、『アス』はともに、原作なしに脚本から生みだした完全なオリジナル。「トワイライト・ゾーン」もリブートではあるが、物語はどれも新たに作られている。そして公開中の長編第3作『NOPE/ノープ』もまた、監督・脚本を自ら手掛けた1作で、ロサンゼルス近郊にある牧場を舞台に、父を失った兄妹がその死の謎に迫るというスリラーだ。
映画やテレビの撮影に使われる馬の調教が行っているヘイウッド家の牧場。しかし、半年前に牧場主のオーティスが、空からの落下物によって事故死する災難に見舞われ、もともと苦しかった経営はさらに悪化してしまう。
牧場を継いだ息子のOJ(ダニエル・カルーヤ)と娘エメラルド(キキ・パーマー)は、開拓時代の西部の町を再現した近隣のテーマパークに馬を売り、苦境を乗り切ろうとするも、ある馬が脱走。馬を追った兄OJだったが丘の向こうに、父の死の際にも目にした謎の飛行物体を目撃。兄妹は、父の死の真相を知るべく、飛行物体をカメラに捉えようとする。
予告にはUFOのような物体、繰り返される「空を見上げてはいけない」という言葉、少しも動かない雲、怪奇現象の数々といった謎めいた要素が多数散りばめられ、まったく想像がつかないものとなっている。
また、主人公たちが、歴史上初の“映画”であるエドワード・マイブリッジによる「動く馬」の黒人騎手の子孫という設定が語られているように、人種的な要素も確認することができる本作だが、どのように物語に絡んでくるのか、また本作で描かれる恐怖の正体とはいったいなんなのか。
「The New York Times」のインタビューに答えたピール監督が「まだ物語を語りつくしていない」と、続編を示唆するような発言をしていることでも話題となっている本作。まだ未見の方は、ピール作品らしい思いもつかないような展開を、ぜひ劇場で楽しんでほしい。
文/サンクレイオ翼