第79回ヴェネチア国際映画祭が開幕!アダム・ドライバー主演作や深田晃司監督作まで、注目映画目白押し
第79回ヴェネチア国際映画祭が、現地時間8月31日に開幕した。ベネチアのリド島で行われる映画祭は世界3大映画祭の一つに数えられ、毎年多くの話題作、期待作が上映される。今年のコンペティション部門では深田晃司監督の『LOVE LIFE』(9月9日公開)が、併設部門のオリゾンティ部門では石川慶監督の『ある男』(11月18日公開)が公式上映される予定。また、イタリアのエンテ・デッロ・スペッタコロ財団が主催する2022年ロベール・ブレッソン賞を是枝裕和監督が受賞し、映画祭会期中に授賞式が開催される。
コンペティション部門の審査委員長は、トッド・ヘインズ監督作『エデンより彼方に』(02)で当時の女優賞を受賞したジュリアン・ムーアが務め、オリゾンティ部門審査委員長にはスペインの映画監督、イザベル・コイシェが名を連ねる。開幕に先駆けて行われた記者会見では、ムーアは「世界は日々変わり続けるけれど、芸術は不変です。人々は常に、物語を伝える新しい方法を発見しています」とコメント。コンペティション部門の審査員は、昨年「Happening(英題)」で金獅子賞を受賞したフランスのオードリー・ディワン監督、映画監督のレオナルド・ディ・コスタンゾ、アスガー・ファルハディ監督作『別離』(11)に主演した女優のレイラ・ハタミ、作家のカズオ・イシグロらが務める。
また、カトリーヌ・ドヌーヴが今年の栄誉金獅子賞(生涯の功績を讃える賞)を受賞。記者会見では、多くの質問に対し流暢な英語で答えていた。1967年にルイス・ブニュエル監督の『昼顔』でヴェネチアを訪れたのが最初で、最近では第76回のオープニング作品として是枝監督の『真実』(19)でも訪れている。「まるで昨日のことのように感じる、とても大切な映画祭です」とヴェネチアへの想いを述べた。およそ半世紀に及ぶキャリアについても、「過去の決断を振り返るのは、未来を決めるのと同じくらい難しいことです。いい縁やいい出会い、いい決断もあるし、あまりよくない決断もあります。よくないのではなく、間違っている時もある」と語り、「過去を振り返る時間よりも、現在を見つめ、前へ進むことを考えます」と、含蓄のあるコメントをしていた。
映画祭オープニング作品は、Netflixで12月30日(金)より配信される、ノア・バームバック監督の『ホワイト・ノイズ』。米作家ドン・デーリロによる同名小説の映画化で、『フランシス・ハ』(12)でも共演しているアダム・ドライバーとグレタ・ガーウィグが主演、ドン・チードルや『ウィズアウト・リモース』(21)などのジョディ・ターナー・スミスが共演。
コンペティション部門には、深田監督の『LOVE LIFE』、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『Bardo,False Chronicle of a Handful of Truths』、アンドリュー・ドミニク監督の『ブロンド』(9月28日よりNetflixで独占配信)、トッド・フィールド監督の『Tar』、ダーレン・アロノフスキー監督の『The Whale』、ルカ・グァダニーノ監督の『Bones and All』、マーティン・マクドナー監督の『イニシェリン島の精霊』(2023年1月日本公開)、フロリアン・ゼレール監督の『The Son』など、今秋以降の映画界を賑わせそうな23作品が上映される。受賞作品の発表は現地時間9月10日に行われる。
文/平井 伊都子