杉山すぴ豊、アメコミ系YouTuberコウスケ、IMALUが徹底討論!スーパーマンが「地球と家族、どっちが大切?」究極の選択を迫られる

インタビュー

杉山すぴ豊、アメコミ系YouTuberコウスケ、IMALUが徹底討論!スーパーマンが「地球と家族、どっちが大切?」究極の選択を迫られる

「エッジのキャラクターは、2016年のアメリカ大統領選を意識していたのではないか?と思う」(コウスケ)

スモールビルで炭鉱を拓こうする実業家のモーガン・エッジ
スモールビルで炭鉱を拓こうする実業家のモーガン・エッジSUPERMAN & LOIS and all related pre-existing characters and elements TM and [c] DC. Superman & Lois series and all related new characters and elements TM and [c] 2022 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

すぴ「ヴィランもすごくよかったですよね。スーパーマン自体が無敵だから、町の銀行強盗くらいでは話が盛り上がらないんですよ。やっぱり同等の力を持っていることが前提になる。さらに、アメコミ“あるある”なんですけど、ヒーローとヴィランには因果関係があって、『スーパーマン&ロイス』もそういうドロドロした関係性が描かれていました。例えば、原作でのモーガン・エッジはメディア王でスーパーマンやロイスと敵対している人物として登場していて、『スーパーマン&ロイス』でも前半は同じ設定だったのですが、後半のドラマオリジナルの展開にはかなり驚かされました」

コウスケ「あれはビックリしましたね!また、『スーパーマン&ロイス』におけるエッジのキャラクターは、2016年のアメリカ大統領選を意識していたのではないか?と思います。クラークたちが暮らすスモールビルの炭鉱にエッジは目をつけ、家庭を持ちながら職を失った人たちに『炭鉱で働かないか?』と話を持ちかけています。ドナルド・トランプ前大統領も同じような方法で選挙に勝利したと言われているんですよ。マスメディアが注目していなかった田舎町、ウィスコンシン州やミシガン州などのラストベルト(=錆びた工業地帯)を“衰退するアメリカ”と表現したバラク・オバマに対して、トランプは“アメリカ・ファースト”、“Make America Great Again”を一貫して訴え続け、ラストベルト地域に住む職を失った白人労働者たちに対して『雇用を取り戻す』『町から出ていくな』とアピールし支持を集めていました。だから、本作のエッジはこうした背景を意識してるのかなと思います」

すぴ&IMALU「へぇ!」

すぴ「ほかにも、死んでしまったスーパーマンの意思を継いでヒーローになったスティールというキャラクターが原作にはいるのですが、彼も『スーパーマン&ロイス』で意外な登場を果たしていましたよね。こちらもドラマオリジナルの設定なので、本作ならではのおもしろさと言えます」

スーパーマンの前に現れる“キャプテン・ルーサー”とはいったい何者!?
スーパーマンの前に現れる“キャプテン・ルーサー”とはいったい何者!?SUPERMAN & LOIS and all related pre-existing characters and elements TM and [c] DC. Superman & Lois series and all related new characters and elements TM and [c] 2022 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

「スーパーマン&ロイス一家を軸に、いろんな家族の家庭問題が絡み合って、世界が大変なことになっていく」(すぴ)

コウスケ「IMALUさんが特に気になったキャラクターはいますか?」

IMALU「ジョン・ヘンリー・アイアンズと娘のナタリー・レイン・アイアンズの親子はすごく気になります。最終回の展開にはビックリで、これからクラークやロイスたちとどう関わっていくのかも含めて、早く続きが観たいです」

すぴ「本作は、スーパーマン&ロイス一家を軸に、いろんな家族の家庭問題が絡み合って、世界が大変なことになっていきますよね。様々な家庭が交差的に描かれているのも見どころです」

コウスケ「僕は、クラークの初恋の相手ラナの家、クッシング家が気になっていました。なかでも、スモールビルの消防署長だけど、アルコール依存症で娘と常に言い争いをしているカイルの描かれ方が好きでした」

「スーパーマン」の歴史についても詳しいアメコミ映画系評論家の杉山すぴ豊
「スーパーマン」の歴史についても詳しいアメコミ映画系評論家の杉山すぴ豊撮影/興梠真穂

「『スーパーマン&ロイス』はほかの作品以上にCGや編集のクオリティが高いと感じる」(コウスケ)

IMALU「チラッと登場するブラックスーツ姿のスーパーマンも気になりました。悪いスーパーマンっているんですね」

コウスケ「『アローバース』でバットウーマンが初登場した、米国では2018年に放送されたクロスオーバーイベント『エルスワールド』でも黒いスーツを身に纏ったスーパーマンが登場するので、『スーパーマン&ロイス』でも登場するのかな?と思っていたら、別の並行世界でのお話で…」

すぴ「もともと、DC作品はマーベルと違って映画もドラマも単独作品だったのですが、『ARROW/アロー』から始まり『THE FLASH/フラッシュ』で大々的にマルチバース設定が加わり、『スーパーマン&ロイス』の世界もそこと地続きになっています。ただ、ここまでお話したように、いままでのシリーズとはまた違った新しいスーパーマンなので、単独でも十分に楽しむことができると思います。本作をキッカケにほかのスーパーマン作品も観たいと思ってもらえたらうれしいですね!」

コウスケ「いままでにない“家族”という要素にフォーカスしたり、物語の舞台が都会のメトロポリスではなく田舎町のスモールビルになっていたりするので、これまでスーパーマンの作品を追いかけてきた人も新鮮に楽しめる作品だと思います」

詳しい人はもちろん、入門編としても楽しめる「スーパーマン&ロイス」をアメコミファンの3人がおすすめ!
詳しい人はもちろん、入門編としても楽しめる「スーパーマン&ロイス」をアメコミファンの3人がおすすめ!撮影/興梠真穂

すぴ「ヘンリー・カヴィル主演の映画『マン・オブ・スティール』ではカッコいいスーパーマン、『スーパーマン&ロイス』ではちょっと情けない父親としてのスーパーマンになっているので、その違いも楽しめますよね」

IMALU「物語はもちろん、映像もすごかったです!」

すぴ「アクションシーンはなかなか見応えありましたね」


コウスケ「『アローバース』を追っている身として、『スーパーマン&ロイス』はほかの作品以上にCGや編集のクオリティが高いと感じます。DCやワーナーにとっても看板ヒーローなので、かなり気合いが入っているのかもしれないですね」

IMALU「初心者の私が観ても、スーパーマンのことをしっかり理解できたので、知っている人も知らない人も楽しめるドラマだと思います」

杉山「アメコミオタクだとアメコミなら有無を言わず観なきゃと思うので、ついつい忘れがちですが、“観やすいか”や“楽しめるか”ってすごく大切なことだと改めて感じました(笑)」

取材・文/阿部裕華

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価格:14,000円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザーズ ホームエンターテイメント 
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント

■杉山すぴ豊
アメキャラ系ライターの肩書で、アメコミ映画・ドラマの情報発信やコラムを様々なメディアで展開。「スーパーマン&ロイス」のNHK放送時には解説も務めた。2021年のDC展アンバサダー。東京コミコンのアドバイザー、MCも務める。

■コウスケ
アメコミ作品を始めとする映画情報を独自の視点から紹介・解説し、多くの映画ファンから支持を集めるYouTubeチャンネル「コウスケアメコミチャンネル」を運営。
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■IMALU
1989年生まれ、東京都出身。高校時代には語学を学ぶためカナダへ留学。帰国後、ファッション誌でモデルデビューし、タレントとして幅広い分野で活躍中。2022年8月から東京と奄美大島の2拠点生活をスタート。
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